「沖縄独立の志」(仮題)の草稿で、故上原康助氏は独立を巡る法的根拠について、諸外国の憲法には自国の領土が具体的に記載されている点に着目している。沖縄が日本からの独立を目指す場合、「諸外国同様に日本の領土を憲法に明記し、分離する場合の規定を明記する憲法改正か法律の制定が必要だ」と具体的な見解を述べている。
自身の考える独立とは「あくまで日本国民の同意を得た上で、長く連れ添った夫婦がそれぞれの新たな人生のために協議離婚するようなもの」と表現。沖縄が軍事的に利用されるだけでなく、人材や物流、情報など、国際拠点の中心として発展する未来図を描いている。
独立への機運が最も高まったのは日本復帰から約10年後だったと指摘。「日本に復帰を果たす中で得られるはずだった繁栄や平和への期待が、実は幻想だと気付いたことに対する当然の帰結だ」と記している。
日本への反発が背景にありながら「経済的には日本に寄り添っていかねばならない現実が独立論の自由な展開を難しくさせている」と苦悩も吐露している。
米軍基地を完全撤去するというゼロオプションには疑問を投げかけ、日米安保体制を認めた上で米軍基地の半減を目指す「ハーフオプション」を提唱。ゼロか百かの政治ではなく、現実的な解決策を探ろうとする上原氏の政治信条が反映された筆致となっている。
(共同通信)