遺産登録や朝ドラでPR コロナ禍の観光回復 JTA社長の野口望氏に聞く<焦点インタビュー>


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JTA社長、野口望(のぐち・のぞむ)氏=24日、那覇市のJTA本社

 日本トランスオーシャン航空(JTA)の社長に、野口望氏(54)が4月1日付で就任した。2年連続の赤字を計上し、今年度は業績回復が求められる。今後のJTAの方針などを聞いた。

 ―社長就任の心境は。
 「以前JALグループの企画部で4年間沖縄で勤務していて、沖縄に戻ってこられてうれしい。一方でコロナ禍の状況をみると焦りはある」

 ―現状の認識は。
 「今年のゴールデンウィークはコロナ禍になって初めて行動制限がなかった。新型コロナ流行前の2019年には及ばないが、7割程度に客足が戻ったのは良かった。重症化率なども見ながらだが、観光と感染対策の両立を図る必要がある。沖縄観光の最も盛り上がる夏に向けて雰囲気を明るくする必要がある」

 ―明るい雰囲気作りとは。
 「タイムセールなどのキャンペーンを積極的に行い、JALグループ機内誌での沖縄特集なども行っている。本島北部と西表島の自然遺産登録や、NHK連続テレビ小説の『ちむどんどん』も放送されているので、それらとつなげて積極的にPRしていきたい」

 ―夏の需要はどのくらい回復するか。
 「行動制限が発令されるかどうかによって変わってくる。最大瞬間風速ではコロナ禍前ほどの予約数があるので、とにかくマーケットの雰囲気を盛り上げることが大事」

 ―特に取り組みたいことは。
 「今年、JTAは創業55周年。沖縄の歴史とともにやってきた会社なので、沖縄へしっかり貢献していきたい。やんばるの電気バスやエシカルツアーなど既に取り組んでいることもあるが、全国から注目を浴びる要素がそろっているので、新しい観光ツアーとして訴求していきたい」

 ―新路線開設は。
 「需要回復が進んだら、いろいろな路線を始めたい。以前から繁忙期に、JTAの機材で飛ばしている羽田―石垣、宮古便の機材をJALの大型機に変更し、余ったJTAの機材を大阪―宮古、名古屋―石垣などの季節運行便として運航している。今年もそうすることで輸送力強化と需要喚起を図りたい」

 ―今後の展望は。
 「非接触の手荷物預け機や、機内の清掃をしっかりとする『ちんだみプロジェクト』など、安心して乗ってもらえる取り組みを引き続き行っていきたい。SDGs(持続可能な開発目標)の盛り上がりに合わせて、観光の質を上げていくことが重要だ」
(聞き手・與那覇智早)