他人の農地に大掃除のごみ…不法投棄、指導の効果なく 沖縄本島南部、県内で7年連続最多


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市道沿いの原野に捨てられた冷蔵庫やタイヤなどの不法投棄廃棄物=26日、糸満市内

 一度撤去した場所に再び投棄される廃棄物―。廃棄物の投棄が不法行為であるという認識は乏しい。市町村の担当者は「特効薬がない」とごみがごみを呼ぶような現状を嘆き憤る。ごみの分別をいとい、処分の費用を浮かそうとする住民、業者の意識が最も問われている。

 【糸満】県の2014~20年度「不法投棄廃棄物実態調査報告書」によると、南部保健所管内で確認された件数が7年度連続で最も多く、14年度は37件だが、以降、50件を下回ることはない。他管内が多い年度でも30件台であることを考えると、群を抜いて多い状況が続いている。

 20年度に南部で確認件数が最も多かったのは糸満市だ。不法投棄された廃棄物は、処分時にリサイクル料が発生するテレビやエアコンなどの廃家電が目立つ。車や人通りの少ない市道沿いの傾斜が急な原野に投棄されているため、回収できないことがほとんどだ。

 一方、住宅地や市街地でも分別されていない家庭から出るごみ、飲食店などから出る事業系廃棄物が道路脇やごみ置き場に散見される。住民から通報を受けた市職員が回収し、個人が特定できた場合は撤去を指導している。担当者は「適切に分別されていれば、収集車が回収できるものが多い」と説明する。

 なぜ分別しないのか。「投棄した本人は面倒くさいと感じているようだ」と担当者は住民の意識の問題を指摘する。自宅の大掃除で出たごみを一度に処分したいとの理由で、他人の農地に投棄した住民もいたという。

 市は22年度、不法投棄が目立つ場所に監視カメラを設置することを検討している。担当者は「(監視カメラがない場所でも不法に)ごみを捨てないようになってほしい」と意識向上を訴えている。
 (比嘉璃子)