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頼もしい子どもの成長<伊是名夏子 100センチの視界から>123


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 娘が小学校に入学してもうすぐ2カ月です。息子の時には起きなかった問題が次々と起こり、人は一人一人違うんだな、と改めて感じています。娘は電車通学に使うPASMOを使って、自動販売機で勝手に飲み物を買ってみたり、友だちにおごってあげたり、友だちの家に連絡もなしにお邪魔したり。問題が起こるおかげで、親の私も先生や保護者をはじめ、いろいろな人と話さないといけず、私の世界も一気に広がりました。毎日が冒険のようで、目をキラキラさせています。また駅で見かけた白杖(はくじょう)を突いた人に声をかけ、案内をしてあげたり、電車の扉に指を挟み血が出て、改札の駅員さんに説明してばんそうこうを貼ってもらったりもしました。人と関わるのが大好きなんだな、と頼もしくも感じます。同時に忘れ物、失くし物が多く、親としては困ります。しかし本人は困っていないので、そこに一番困っているのですが。

毎日楽しそうな娘と

 ただ一つ思うのは、子どもが何かを失敗しても親のせいではないし、うまくいったことがあっても、それは親のおかげではないということです。もちろん親は子どもの成長に多大な影響を与えるでしょう。子どもの幸せ、安全を第一に考え、教育を受けさせる義務もあります。

 しかし何か起こった時、それがすべて親の責任、影響ではないのです。子どもの性格、いろいろな人との関わり、さまざまな環境をはじめ、いくつもの要素がたまたま重なり合って、成長していきます。同じ家庭で育った兄弟姉妹の性格、生き方が全く違うこともよくあることですよね。

 また心にとどめたいのが、子育てをする時、親は自分の経験を参考にするのはいいのですが、それだけを基準に、子どものことを決めるのは良くないと感じています。子どもと私は全く違う人間で、感じ方も、考え方も違います。性格も、生きている時代も、環境も違います。

 例えば私の場合、骨折や入退院を繰り返したり、祖父母が一緒に住んでいたり、地域のつながりが濃かったりと、今のわが子たちとは異なることばかりです。だからこそ自分の経験の物差しだけでなく、いろいろな話を聞き、本を読み、時にはデータも参考にし、子どもの将来を考えて行きたいです。すべての子どもが幸せに、サポートを十分に受け、成長できることを願います。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。