【記者解説】子どもの貧困、改善に必要なこととは? 21年度沖縄子ども調査


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 小中学生の子育て世帯の貧困状況を調べた調査は、全国と比べて正規雇用率が低い親の就労形態や、ひとり親世帯の割合が多い沖縄の貧困問題をより際立たせる結果となった。調査の考察でも「格差や貧困の深化が危惧される」としている。

 貧困対策に関する県の有識者会議では「子どもの貧困は親の貧困」と指摘されている。県の新たな貧困対策計画では、企業の利益を従業員に還元することを促す政策を設けた。貧困の再生産を防止するためにも、雇用の質を改善する取り組みの加速化が求められる。

 足元の暮らしでは、就学援助や子どもの居場所の利用率が増加するなど、支援制度の認知度が上がったことは改善点だ。だが自由記述では低所得層に限らず、義務教育段階の支出が多く、生活に余裕が持てないという意見も散見された。多くの世帯で収入が落ち込む中、節約できない学用品や学童保育の料金が家計の重しになっている。

 コロナ禍の影響が続く今だからこそ県内自治体は、困窮の有無に限らず必要とされる支援制度のニーズを検証し、利用基準や費用などを再検討する必要があるだろう。

(嘉陽拓也)