土地規制法が一部施行 私権制限の懸念拭えず


この記事を書いた人 Avatar photo 山城 祐樹

【東京】米軍基地や自衛隊施設の周辺、国境離島などで土地の利用状況を調査し、妨害行為への中止勧告や命令が可能になる土地利用規制法が1日、一部施行した。罰則対象にもなる「機能阻害行為」の内容は定まっておらず、検討状況も不明瞭だ。米軍基地や自衛隊施設を多く抱え、離島県でもある沖縄では影響が大きく、私権制限の懸念が拭えない。

 成立前の国会審議で、情報収集に公安調査庁や内閣情報調査室などの情報機関が協力することや思想調査に及ぶことも可能だと明らかになった。政府は実際には行わないと説明しているが、思想・信条の自由やプライバシー保護の観点から課題は解消されていない。

 一部施行で(1)担当の政策統括官を内閣府に置く(2)有識者を集めて「土地等利用状況審議会」を設置(3)法の運用に関する基本方針を決める―ことが可能となった。9月の全面施行前に国民からの意見公募(パブリックコメント)を行う方向で検討を進めている。全面施行を迎えると、実際の区域指定が始まる。

 政府は、外国資本による土地買収が安全保障上の懸念となるとして、同法を制定すると説明してきた。だが、実際は外国資本による土地買収そのものを防ぐ権限はなく、政府の説明には疑問が残る。 
  (明真南斗)