農畜産業の原料価格高騰などを受け、JA沖縄中央会とJAおきなわ、県花卉(かき)園芸農業協同組合、県酪農農業協同組合、県養鶏農業協同組合の5団体は4日、那覇市内のホテルで県選出・関係の自民党国会議員に対し、持続可能な生産基盤の確立に向けた支援を要請した。各団体トップがロシアのウクライナ侵攻の影響を受けた肥料や飼料の高騰、離島県ゆえの輸送コスト負担、生産者が価格転嫁に踏み込めない窮状などを訴えた。近く県にも要請する。
要請内容は(1)飼料・肥料を含む生産資材価格高騰に対する支援(2)県の「農林水産物流通条件不利性解消事業」の内容見直し(3)価格転嫁が困難な状況改善への支援―の3点。JA沖縄中央会の大城勉会長は「食料の安定的供給、安全保障の面でリスクが拡大している」と強調した。
JAおきなわの普天間朝重理事長は、週明けの理事会で肥料価格の高騰を受けた対策を決めると説明。6月の在庫分は据え置くとの見通しを示し「県や国も一緒にやってくれればいいが、待っていられず先行してやる。一緒に支援をしてほしい」と語った。
「太陽の花」ブランドでキク類などを出荷する県花卉園芸農業協同組合の前川亮一組合長は、肥料に使う窒素の価格が最大94%上昇したことに「植物には絶対必要不可欠のもの。福岡県では上昇分を半額補助すると報じられている。沖縄県でもやってほしい」と求めた。
「配合飼料を含めずっと右肩上がりで、本当に先が見えない」。県酪農農業協同組合の神谷翔平組合長も県内酪農家の窮状を訴えた。生産者は価格交渉で弱い立場に置かれ、牧草などの粗飼料も今後の値上げが懸念されると指摘した。
県養鶏農業協同組合の宮城哲治組合長も、鶏卵のコストの7割を占める飼料の値上げが経営を圧迫し「需給のバランスで値段が決まるので、なかなか価格転嫁ができる状況でもない」と話した。
対応した国会議員は「現場の声を聞き細かく対応していく」(国場幸之助衆院議員)などと応じた。 (當山幸都)