異常な多さ…沖縄県内の違法な選挙ポスターやのぼり 県選管が対策強化を継続


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違法掲示物について「必要に応じて撤去命令を検討したい」と述べる県選管の森田賢書記長=3日、県庁

 6月22日公示、7月10日投開票が有力視される参院選の公示まで8日で2週間となった。県選挙管理委員会は昨年10月の衆院選時に公示前としては初めて違法掲示物の撤去命令を出すなどの対策強化に取り組んでおり、今年も継続する。選挙関係者からは「盛り上がらなくなる」と本音が漏れ聞こえるが、県選管の森田賢書記長は「今年は知事選も含む『選挙イヤー』。昨年と同様に市町村選管と連携し、必要に応じて撤去命令を検討したい」と強調する。

 違法掲示物となるのは道路や私有地などに掲げられた候補者の氏名などが入ったのぼり旗やポスターなどのこと。県選管によると、県外の選挙の際には違法掲示物はほとんど見当たらない。撤去命令までに至るケースは少なく、違法掲示物が横行する沖縄の状況は異常だ。

 県選管は昨年、衆院選の公示前としては初めて2度にわたって撤去命令を出した。一回目は1136件、2回目は1072件。その効果もあり公示後の撤去命令は631件に減った。17年の衆院選では公示後の撤去命令は1071件、14年は1640件の撤去命令が出されていた。

 森田書記長は「公示後の撤去命令は減少傾向にあり、住民の違法掲示物に対する目も厳しくなってきた」との認識を示した。県選管は前回衆院選時に違法掲示物の具体例を示したポスターを初めて作成した。これ以前は県民から「多数の違法掲示物の展示で見苦しい」などといった苦情が寄せられていたが、最近は「あの場所にある掲示物は違法ではないか」などといった具体的に違法性を指摘する声が増えているという。

 一方、前回衆院選時から違法掲示物への対策を強化したことで、選挙関係者からは「選挙が盛り上がらなくなる」などといった声も漏れた。これに対し森田書記長は「公選法は有権者の自由な意思による選挙が、候補者の財力によってゆがめられないように制約を掛けている。有権者は公正な選挙を望んでいる。候補者は正々堂々と県民の信託を得られるよう頑張ってほしい」と話した。

 (’22参院選取材班)