沖縄の問題、全国で考えて 地位協定や基地負担を議論 新聞労連が復帰50年シンポ


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「『復帰』半世紀 沖縄は問う」をテーマに報道の在り方などを議論した新聞労連の公開シンポジウムの登壇者ら=25日、那覇市のIT創造館

 全国の新聞社の労働組合でつくる日本新聞労働組合連合(新聞労連、吉永磨美中央執行委員長)は25日、那覇市IT創造館で「『復帰』半世紀 沖縄は問う」をテーマに公開シンポジウムを開いた。新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞した記者らが、日米地位協定や沖縄の過重な基地負担、自衛隊配備の取材などを通して見えた課題を共有。沖縄の問題を日本全体で考える報道の在り方などについて議論を深めた。会場とオンライン合わせて約60人が参加した。

 登壇者は、第26回新聞労連ジャーナリズム大賞受賞の毎日新聞「特権を問う~日米地位協定60年」取材班の銭場裕司記者と加藤隆寛記者、優秀賞を受賞した沖縄タイムス「『防人』の肖像 自衛隊沖縄移駐50年」取材班の銘苅一哲記者、航空自衛隊那覇基地から流出した泡消火剤に有害物質が含まれていることを突き止めた報道で特別賞を受賞した琉球新報取材班の明真南斗記者。

 毎日新聞の銭場記者は「地位協定を全国で考えてもらうため沖縄以外の実態を取材する必要があった」と企画の趣旨を語り、加藤記者は新宿上空でビルに近接し縦横無尽に飛ぶ米軍機を動画で撮影し「屈辱的な気持ちになった」と振り返った。

 銘苅記者は、自衛隊を取り上げることで平和団体の関係者から批判を受けた一方、自衛隊関係者から好反応があったことに触れ「これまで自衛隊を報じることにあまり目を向けられていなかった。どちらの立場も報じたいとバランスを重視した」と話した。

 明記者は全国各地の自衛隊施設約60カ所の消火用水槽の8割で、有機フッ素化合物(PFAS)の国の暫定指針値を超えていたことを報じたことに触れ「沖縄に限らない話だが、国が調査結果の発表を急ぐ様子がない。他社にも報道してもらいたい」と述べた。 (慶田城七瀬)