沖縄の受験生の7割が不正解「復帰の日」はいつ? 高校入試の正答率28% 学校で沖縄の歴史学んでる?


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2022年度県立高校入試で出題された、沖縄の歴史に関する問題

 2022年度県立高校社会科の入試問題で、沖縄が日本に復帰した年月日を記述式で回答させる設問の正答率が28・4%だったことが29日、分かった。復帰50年を前に、沖縄の歴史への関心が高まっている中での入試で、有識者は正答率の低さに危機感を示し、学校で沖縄の歴史を十分に学べない環境が続いていることに警鐘を鳴らした。

 入試は今年3月に実施し、1万1157人が受験した。そのうち10分の1を抽出して正答率を出した。

 入試には、復帰前の沖縄の状況について四つの選択肢から正答を選ぶ問題もあった。米ドルの通貨使用を答えさせるもので、正答率は76・3%だった。

 復帰の年月日を問う問題は今年1~2月に、沖縄歴史教育研究会が高校2年生に行った調査でも記述形式で出題され、正答率は22%だった。

 同研究会顧問で沖縄大学客員教授の新城俊昭さんは「沖縄は単なる地域史ではなく、琉球王国として外国との直接交流があったことや、戦後は本土から引き離されて米国の支配下に置かれるなど特殊な歴史がある」と前置きし、独自の歴史を体系的に学べるようにすべきだと強調した。

 その上で「長年指摘されてきた沖縄の歴史を学校で学べない状況が改善されていない。今回は特に、復帰50年を前に注目が高まっていたはずだ。教員の意識低下も心配される」と指摘した。 (嘉数陽)