医療的ケア児の家族会が発足 「かなさん沖縄」支援者と情報収集 課題集約、改善要請へ


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「互いに情報交換しながら支え合っていけるような会にしたい」と話した仲間久美子さん(左)と娘の百恵さん=1日午後(オンライン)

 人工呼吸器やたんの吸引などが日常的に必要な医療的ケア児者の家族会「かなさん沖縄」が、このほど発足した。当事者やその家族と支援者がつながり、安心して暮らせるインクルーシブ(誰も排除されない)社会の実現を目指し活動する。

 医療的ケア児を巡っては、2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(医療的ケア児支援法)が成立したことをきっかけに、全国的なネットワーク組織「全国医療的ケアライン」が発足した。「かなさん沖縄」はその沖縄支部となる。発足を記念して、7月23日にはオンラインイベントを開催した。今後は無料通信アプリ「LINE(ライン)」での情報交換が主な活動となる。

 代表の仲間久美子さん(44)=宮古島市=は「医療的ケア児の親は『障がい児を生んだのは自分だから、世話をするのが当然だ』と責任を感じて全て抱え込んでしまうことが多い。社会的なサービスもいろいろとあるので、そうした情報交換などをしながら支え合っていけるようにしたい」と目的を語る。

 仲間さんによると、医療的ケア児が通学する際の保護者の付き添いの有無や入浴介助の制限などへの対応は、学校や自治体によってばらつきがある。

 例えば医療的ケア児が通う学校には看護師が配置されるが、看護師が実施できる医療ケアが限定されていることから、保護者の付き添いがなければ通学しにくい場合がある。親は付き添いのため仕事を辞めなければならない状況に追い込まれることも多く、経済的な負担も重くなる。

 仲間さんの娘で、脳の形成障害「滑脳症」と診断され、酸素ボンベを使って生活する百恵さん(11)は、支援学校に入学する前の教育相談で「酸素を使っている子は通学できない」と言われた。

 2017年4月に入学するも、仲間さんが仕事を休める週2回の午前中のみ通学していた。その後在籍する支援学校では看護師の配置や看護師ができる医療ケアが拡大され状況は改善したが、現在も保護者の付き添いが必要な支援学校もあるという。

 仲間さんは「障がい児もその親も、普通に学校や仕事に行けるような、当たり前の生活を送れる権利がある。その権利を保障するのは国や県などの行政であるはずだ。情報交換をする中で当事者やその家族が直面する問題が浮き彫りになれば、意見を集約して関係機関に改善を訴えるなどしていきたい」と話した。

 「かなさん沖縄」のホームページはhttps://kanasanokinawa.com/?fbclid=IwAR0tNyy_1hu94alYaxHbXf7w9Ap73IDyRFHEkYJNSUfWHr6h1Kc1D3yiA8Eから。電話での問い合わせは事務局の一般社団法人Kukuru(ククル)(電話)098(888)5996まで。
 (嶋岡すみれ)