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子どもの性被害<伊是名夏子100センチの視界から>128


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
性被害について大人が本を読んだり、知識を得たりしながら、勉強していくことは大切です

 コロナのまん延もあり、子どもにとっても、大人にとっても我慢を強いられることの多い夏休みかもしれません。子どもにはいろいろなことに挑戦し、できる限り楽しんでほしいと思いながらも、大人として一つ心にとどめたいことがあります。休みになると子どもが性被害に遭う確率が増え、大人が勉強し、準備をしておくことも大切です。

 加害者は見知らぬ人からというよりも、学校や塾、習い事の先生、近所の大人、そして親戚から受ける方が多いのです。普段から知っている、信頼している大人からなので、子ども自身も被害だと気づきにくく、仲がいいから、特別だからと思ってしまうことが少なくありません。また加害者は「これは二人だけの秘密」「この話を誰も信じてはくれないよ」「この話をすると親が悲しむよ」というふうに、巧みに口止めをします。被害を受けた子どもはより混乱し、被害が明らかになりにくいのです。

 だからこそ子どもが性被害について話してくれたら「話してくれてありがとう」の一言をまず伝えましょう。多くの大人は、まさかわが子が性被害に遭うなんてとショックで「どうしてそんなところに行ったの?」「いつも気を付けてと言っているでしょう」「そんな服を着ていたからじゃない」と、子どもを責める一言を言ってしまいがちです。しかし加害をしてくる大人が100%悪く、子どもに非があることは全くないのです。子どもの行動を責めずに「どうして?」と理由を聞くのではなく、子どもの話を受け止め「何があったの?」と事実を話せるように促しましょう。子どもは不安を抱え、混乱していることが多く、何度も話させることはさらなる被害につながることがあるので、聞く時には携帯で録音したり、メモをしたりするのもいい方法です。

 また性犯罪、性暴力被害のためのワンストップ支援センターの電話番号「#8891」を携帯に登録しておいたり、インターネットで、子どもが性被害に遭った時の対応について調べておいたりするのも、いいかもしれません。「小さな女の子・男の子のためのガイド 性虐待を生きる力に変えて」(明石書店)は、いろいろなシーンの被害を分かりやすく、子どもも読めるように書かれているので、おすすめです。

 子どもに性被害に遭ってほしくないですが、避難訓練のように、もしもの時を想定して準備するおくことで、子どものケアにつながります。まずは大人が勉強していきましょう。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。