経済問題、3候補の対応、主張は?<22年沖縄知事選・政策点検>2


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 コロナ禍で落ち込んだ県経済の回復策は、県知事選における焦点の一つとなる。物価高も課題となる中、下地幹郎氏(61)、佐喜真淳氏(58)、玉城デニー氏(62)はそれぞれ独自の施策を打ち出している。

 下地氏は航空便をコロナ前より増やすために「搭乗率保証を行う」とし、観光の早急なV字回復を図るとした。当面必要な生活、事業資金の不足に対しては、主に沖縄振興開発金融公庫の融資制度を活用するとした。

 佐喜真氏は県経済のV字回復のため、観光関連産業を中心とした「1千億円規模の支援を行う」と公約に掲げている。厳しい状況が続く求職者に対する就業・生活支援を速やかに行う必要があるとの考えも示した。

 玉城氏は観光需要喚起策の彩発見キャンペーンや事業継続支援、観光関連・宿泊・公共交通などの事業者の支援を進めるとした。「SDGsを柱とした新・沖縄21世紀ビジョンを推進する」と訴えた。

 ウクライナ危機に端を発するエネルギー・原料価格の高騰や円安などの影響を受けた物価高も県民生活を直撃している。

 下地氏は、県が独自に打ち出せる施策として消費税の地方分を減免すると強調した。国の制度や自主財源も活用して離島のガソリン価格を下げる施策や航路・航空路の物流コストを下げる支援策などを訴えている。

 佐喜真氏は電気、ガス、ガソリン、食料品など生活必需品の高騰に苦しむ県民を全力で支援すると説明した。沖縄公庫と連携して中小企業の資金繰り支援や農林水産業への手厚い支援にも取り組む考えを示した。

 玉城氏は農業者、漁業者への飼肥料費、燃料費補助を6、8月の補正予算で実施したと説明。今後は影響を受ける事業者への支援金や、私立保育所、特別支援学校に対して食材費高騰への支援に取り組むとした。

 10年後の一人当たり県民所得の目標について、下地氏は300万円を掲げた。所得向上には企業の収益増加が欠かせないとし、民間企業が商品開発や販路拡大などにチャレンジできる環境づくりを進めるとした。

 佐喜真氏は「しなやかで強い沖縄経済を実現する」と強調した。目標額を設定せず、脱炭素化やエコ、健康医療分野で日本をリードする新産業を創出すると公約した。

 玉城氏は2031年度目標として291万円を示し、域内自給率の向上や観光産業の高付加価値化、デジタルトランスフォーメーションを推進しするとした。

(’22知事選取材班)