メッシュ小型機、続く休止…搬送依頼断るケースも 墜落から5カ月、後続機の入手できず


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事故前の2019年3月、沖縄本島で治療を受けた患者を、治療継続のため宮古島に搬送するメッシュ・サポートの小型機と関係者ら=沖縄本島(メッシュ・サポート提供)

 【北部】NPO法人メッシュ・サポート(塚本裕樹理事長)の小型飛行機が沖縄県の伊江島空港に墜落した事故から5カ月余り。離島から沖縄本島の病院への転院搬送や帰島の搬送を担ってきた小型機が失われ、運用休止が続いている。メッシュは再開を目指しているが、円安の影響で後継機の入手が難しく、再開のめどは立っていない。

 沖縄本島に搬送された患者が転院など治療を継続するため離島に戻る際、民間機やフェリーを使うと移動中の医療機材の使用に制限があるほか、移動に時間がかかるため患者の費用面や体調面の負担が大きい。メッシュは2015年度以降、小型機1機で宮古・八重山を含めた県内離島や奄美群島から沖縄本島への転院搬送、帰島時の搬送など、県のドクターヘリや自衛隊機が対応できない事案を引き受けてきた。

 しかし、3月12日の事故で全事業を休止した。受託してきた北部振興事業による北部地域救急・救助ヘリ「やんばるレスキューヘリ」は4月に再開したが、小型機の搬送事業は休止が続く。後継の小型機を探しているものの、国内では確保が難しいという。円安の影響で輸入価格が上昇しており、海外の中古品でも手頃な機材が見つかっていない。小型機の運営は寄付金で全額を賄っているため、後継機の選定に頭を抱えている。

 事故後も小型機利用のニーズは絶えることがないという。今月28日までに沖永良部島などの病院から本島への転院搬送2件、本島から宮古島への帰島搬送1件、本島から喜界島への帰島搬送1件の依頼があったが、断らざるを得ない状況だ。

 やんばるレスキューヘリがカバーするのは北部圏域で、その他の離島や奄美は対象外。北部の事案でも基本的に急患に限られる。メッシュの小型機は、患者やその家族のさまざまな事情や多様な要望に応じて搬送に当たってきたが、利用できないことで患者側の負担が増すことになる。

 沖永良部徳洲会病院では、脳の病気で沖縄本島に搬送された患者の帰島時、家族が迎えに出向きフェリーで帰った。患者の安全性を保つ意味でも本来は早くて医療環境が整ったメッシュに搬送を依頼していたケースだという。

 玉榮剛院長は「搬送で困った時に対応してくれるメッシュは、なくてはならない存在だ」と強調し、早期再開を願う。塚本理事長は「公的搬送がカバーできない島々の課題解消を目指している。少しでも早く再開し、離島の皆さんのために働きたい」と話した。
 (岩切美穂)