休日の部活動の地域移行、沖縄県教委が議論スタート 教師の長時間労働解消を目指す


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公立中学校の休日の運動部活動地域移行に関する第1回検討会議=8月18日、那覇市の県立図書館ホール

 部活動を地域団体や民間事業者に委ねる「地域移行」で、県内でも8月、本格的な議論が始まった。県教育委員会は、大学教授や部活動支援などを手掛ける会社代表、県の体育連盟会長ら14人を集め、検討会議を立ち上げた。まずは公立中学運動部活動の休日の活動に限定し、段階的な地域移行実現に向けて、具体的な推進計画の策定を目指す。

 部活動の地域移行は、少子化により部活動の継続が困難になることや、指導に当たる教師の長時間労働、業務過重の解消などが目的。2023年度から25年度末をめどに改革が進められる。

 8月18日の第1回検討会議で県教委は、部活動に関する県内の現状を説明した。22年度現在の、県内中学の運動部活動数(国立・私立含む)は1374、加入率は53.3%で、外部コーチ数は978人、総合型地域スポーツクラブは8月時点で63ある。

 地域移行した場合の課題の一つに、会費の保護者負担増がある。県教委によると、現在保護者が負担している部費は年5千円程度。しかし地域スポーツクラブの場合は、競技やクラブによって異なるが、おおよそ月額5千円から1万円以上かかる。委員からは「他県と違い、沖縄は離島を多く抱えている。市町村の予算だけでは(保護者の会費負担の支援は)難しい」と意見が上がり、地域格差が生じる可能性に強い懸念を示した。国からの支援方策は現時点で示されていない。

 また県教委はこの日、他県の事例を参考にした教職員の関わり方、部活動運営のモデルパターンを「たたき台」として示した。教職員が一切指導に携わらないことが理想とした上で、「自主的な活動」として無報酬で教職員が指導に従事するケースや、兼職兼業の申請をした上で指導に当たるケースも紹介した。検討委からは「負担軽減にならない」と指摘が上がった。

 県教委は推進計画の策定を「24年10月予定」と説明したが、これについても委員からは「すでに各市町村で、移行に向けた議論が進められている。遅すぎる」と指摘が上がり、地域との密な情報共有が求められた。

 第2回会議は10月末に予定されている。
 (嘉数陽)