SUPの田口、初の総合1位 圧巻、スプリントで独走 ワールドツアー第3戦


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 SUP(スタンドアップパドルボード)のAPPワールドツアー第3戦となる釜山オープンが23~25日、韓国・釜山の広安里ビーチで行われた。県勢の田口頼(18)=本部・八洲学園大国際高出、SIC MAUI所属=がスプリント部門(約300メートル)とディスタンス部門(10キロ)を制し、初の総合1位に輝いた。荒木珠里(16)=NHK学園高1年、KANAKA沖縄所属=はスプリント4位、ディスタンス2位で総合3位に入った。16~18日に英ロンドンのテムズ川で行われた第2戦・ロンドンオープンでは、田口がスプリント2位、ディスタンス9位で総合4位。荒木はスプリント準々決勝で敗退しディスタンスは8位、総合9位だった。ツアーのレースランキングは田口が3位、荒木が4位となっている。

 田口頼が24日のスプリント、25日のディスタンスで1位となり、2種目制覇を成し遂げた。

 ロンドンから釜山へと慌ただしく移動してのツアー。さらにエリザベス女王の国葬に伴う混乱もあり、自身のボードが韓国へ届かないというアクシデントに見舞われた。

 「韓国の女子選手からボードを貸してもらい、助けられた」と田口。スプリントではスタート早々に乗り慣れないボードから落ち、他の選手より出遅れた。しかし、ブイを回る場面で他選手が互いに密集しスピードを落とすなか、田口は内側から抜き去り、最後は圧巻のスプリント力で次々と他の選手を追い抜いて1位でゴールを駆け抜けた。

 ディスタンスでは、スタートからトップ集団5番手で様子をうかがいながら展開を練った。「ペースが遅いな」と1キロ過ぎからは1人抜け出し、最後まで先頭を譲らなかった。「こぐ力に自信があった」と初乗りの板でも冷静にレースを進めた。「現地は大盛り上がりで同じアジア人として僕を応援してくれた。空港まで出迎えに来たり、ご飯をおごってくれたりと、韓国の人たちはとてもいい人たちだった」と交流も深めた。

 田口は「ロンドンでスプリント初入賞の2位、韓国で初の1位をダブルでとれて最高にうれしい」とかけがえのない経験値を得た。
 (大城三太)

ディスタンスレースを1着でゴールする田口頼=韓国・釜山の広安里ビーチ(APP World Tour)
ディスタンスレースで優勝した田口頼(中央)と、準優勝の荒木珠里(左)=韓国・釜山の広安里ビーチ(APP World Tour)