石垣島にゴルフ場計画、慎重な審査を求める 環境団体や市民らが沖縄県に要請


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石垣ゴルフ場開発計画を慎重に審査するよう照屋義実副知事に求めた後、記者会見する環境保全団体、住民団体の代表ら=9月30日午後、那覇市泉崎の県庁

 【那覇・石垣】ユニマットプレシャス(東京)が計画する沖縄県石垣市の前勢岳北側のゴルフ場を含むリゾート開発について、環境保全団体と住民団体が9月30日、那覇市泉崎の県庁に照屋義実副知事を訪ね、計画区域での農業振興地域(農振)除外・農地転用などに関する疑問や問題について意見交換を行い、市と事業者の計画を慎重に審査するよう求めた。

 リゾート開発計画区域は農振に指定されていて、農地転用は原則不許可となっている。これに対して、事業者は農振除外を可能にするために地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引(けんいん)事業計画の承認を県に申請。県は3月、農振法、森林法、農地法、県環境影響評価条例に絡む意見を付けた上で申請を承認した。県は今後、農振除外・農地転用、環境保全対策などを審査する。

 意見交換には、環境保全団体「WWFジャパン」、住民団体「アンパルの自然を守る会」、「カンムリワシの里と森を守る会(準備会)」の代表らが参加。(1)農振除外・農地転用について周辺住民に説明がない(2)リゾートでの地下水取水が持続可能ではない(3)下流にあるラムサール条約登録湿地「名蔵アンパル」を損なう可能性がある(4)区域で生息している国指定特別天然記念物「カンムリワシ」の保護計画がない―などの問題点を指摘した。

 意見交換後に記者会見を開いた環境保全団体などによると、照屋副知事は地域経済牽引事業計画を承認した際に知事意見を付けたことなどを説明。「申請が承認されたことで問題が全て解決したとするのは無理がある」とし、知事意見への対応とともに農振除外・農地転用、環境保全対策などを「法令に基づきしっかり審査していく」と述べたという。

(安里周悟)