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園に立ち入り調査せず 那覇市 乳児死亡前、虐待疑い通報


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那覇市役所

 7月30日に沖縄県那覇市の認可外保育園(8月28日付で廃止)で生後3カ月の男児が心肺停止の状態で救急搬送された後、死亡した件で、市がその約1カ月前に利用者から虐待の疑いや騒音に関する通報を受けていたにもかかわらず、立ち入り調査をしていなかったことが12日までに分かった。厚生労働省が定める認可外保育施設の指導監督指針では、重大事案が発生する恐れがある場合は、立ち入り調査が必要としている。

 市によると、6月24日に同園を利用した保護者から通報があったという。「朝からテレビの音量が大きく子どもが泣いていた。昼も子どもの泣き声が駐車場まで聞こえる」「子どもが職員からたたかれたと言っている」という内容で、抜き打ち調査を求めていた。

 通報を受け、7月5日に市職員が現地訪問した際は、園外からは泣き声や騒音は聞こえなかった。園長からの聞き取りでも異変はなかったとして、立ち入り調査を判断しなかったという。

 担当者は当時の調査と乳児死亡事案の関連性は不明としながらも、虐待が疑われる通報内容だったため、「振り返ると施設内を確認し、子どもにあざがないか確認したほうがよかった」と説明した。

 今後は苦情に関する対応を改善するとしている。

 市によると、同園は夜間保育も行っていたが、昨年12月の深夜、市が定期的な立ち入り調査を実施した際、乳児や幼児、小学生など26人を職員1人で対応する時間帯があった。

 そのため、保育従事者不足や乳幼児突然死症候群の予防など、12項目の指導改善を求めたという。

 亡くなった乳児の遺族は「(経緯など)分からないことが多い」とし、同園に関する情報提供を呼び掛けている。メールアドレスはriku.okinawa78@gmail.com (嘉陽拓也、友寄開)