沖縄セルラー電話は20日、1992年のサービス開始から30周年を迎える。モバイルの契約件数は74万件で、県内シェアは5割を超える。同社が今後、沖縄社会で果たすべき役割などについて、菅隆志社長に聞いた。
―30年間、最も大事にしてきたことは。
「『地元に全力』をキャッチコピーにやってきた。(競合)他社にとって沖縄は全国の地域の一つだが、私たちは沖縄しか見ていない。沖縄のための通信会社として設立されたこともあり、沖縄で全力で戦ってきた」
―強みは何か。
「四つある。一つ目は地元の支えと強靱(きょうじん)な販売チャネルだ。専売ショップは県内に70店舗ある。分からないことを近くのショップで聞けるのは大きい。二つ目は県民のライフラインであるという使命と最高の通信品質。4Gの人口カバー率は99・99%。離島も他社に先駆けエリアを拡大し、auはつながると評価をもらえている。台風が多い沖縄で災害に強い基地局を作り、有事の際にも迅速に対応できる体制を整えてきた。三つ目はお客様視点の対応。コールセンターは本社5階に置き、地元に寄り添った対応をしている。四つ目はスピードとチャレンジ精神が社内DNAとして根付いていることだ」
―7月の大規模通信障害で得た教訓は。
「以前は固定電話があるのが当たり前だったが、今は違う。携帯電話がより重要なインフラになっていることを再認識した。厳しい声もたくさんいただいた。二度とこのような障害を起こしてはいけないという意識をもって、社員一同レベルアップを図っていく」
―設立に中心的な役割を果たした稲盛和夫氏が8月に亡くなった。
「業績はそれなりに結果を出しているが、稲盛氏の目指したのはもっと高いところにある。沖縄の課題は山ほどあり、中心になって解決の道を開いていきたい」
―社内の女性活躍は。
「ダイバーシティに取り組んでいるが、もっと強化しないといけない。子育てと仕事を両立できるようにサポートしたり、男性の育休も取りやすくしたりした。女性の意識改革も同時に進めていく」
―今後の5G展開は。
「本年度末で離島も含めて人口カバー率は90%になる予定だ。来年の前半には海底ケーブルも完成する。コア設備が5G対応になれば、高速、多接続、低遅延という5Gの本来のスペックを発揮できる。これを核にして新たなビジネスモデル構築や沖縄の抱える課題解決に貢献したい」
(聞き手 玉城江梨子)