粟国小型機事故「操縦ミスが原因」 第一航空が報告書


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 8月末に粟国空港で第一航空の小型機が着陸時に滑走路の右側にそれ、フェンスに衝突した事故で、同社が事故原因を人為的な操縦ミスとみていることが25日、分かった。社内の事故調査会がまとめた。同社は10月中旬に調査報告書を大阪航空局那覇空港事務所に提出。25日、那覇空港国際線ターミナルで事故当時搭乗していた乗客約10人に対し、事故原因や補償対応に関する説明会を初めて開いた。11月上旬には粟国村で説明会を開き、同月末に運航再開を予定している。

 第一航空によると、着陸時に機首側のタイヤが若干右方向に曲がっていたのが滑走路を外れた原因とみられる。タイヤの進行方向を決める操縦席内のステアリングレバーが直進方向にきちんと固定されていなかったという。
 事故当時の那覇発粟国便は訓練のため副操縦士が操縦していた。右方向に機体がそれた後に機長が操縦を代わったが、衝突は回避できなかった。同社は「機長の判断も遅かった」としている。正式な事故原因は国交省運輸安全委員会が来年にも発表する。
 第一航空は再発防止策として、操縦士の再教育やこれまで目視のみだったステアリングレバーを確認する作業の見直し、シミュレーターによる事故回避策の検討などを挙げた。
 第一航空は事故2カ月後に初めて説明会を開催したことに関し「当初は機体に問題があるとみて、カナダにあるメーカーへ行って検証をしたため時間を要した」とした。
 説明会に参加した福田明子さん(63)=那覇市=は事故以来、右手の指に痛みを感じている。「完治しないと治療費が補償されないのはおかしい。もっと早く開いてほしかった。機長と副操縦士が説明会に出席し謝罪しないのもおかしい」と指摘した。首を打撲するけがなどを負った新川正男さん(53)=同市=は「会社側がミスを認めたのは評価できるが、けがの補償が心配だ。何年たっても対応できるようにしてほしい」と要望した。