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「オール沖縄と自民で知念氏を」受け入れられなかった城間氏の当初案 「翁長家頼り」の選挙戦に<激震・県都決戦の波紋>上続き


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当選セレモニーで城間幹子那覇市長(左)からバトンを受け取る知念覚氏=23日午後11時52分ごろ、那覇市おもろまちの後援会事務所(ジャン松元撮影)

 「那覇市長選はオール沖縄対自公の構図でなくてもいい」。5月の引退表明会見で、城間幹子市長はこう言い放った。関係者によると、オール沖縄が市長選で連敗する状況に「オール沖縄対自公の構図は地域の課題が見えづらい」との不満があったという。加えて、自身を8年間支えた副市長の知念覚氏への信頼は厚く、与党県議は「城間氏は始めからオール沖縄と自民も一緒に、市長選で知念氏を推したいと考えていた」と明かす。

 オール沖縄側の選考委員会は(1)知事選で玉城デニー氏を応援する(2)辺野古新基地建設に反対する―を選考基準とした。ただ城間氏は「自身の考えが理解してもらえない」と捉え、溝を深めていった。不協和音は以前からあった。2020年12月、城間市長は議会に副市長人事を提案したが、野党だけでなく与党会派の一部も反発して廃案に追い込まれた。与党県議の1人は「城間氏に疑問が生じたのは間違いない」と解説する。

 オール沖縄は知念氏への聞き取りや知念氏が自民の候補者選考会に出席する意向を示したことなどを受け、翁長雄治氏の擁立で固まった。雄治氏も立候補を決意した。

 だが城間氏は「知念さんが辺野古反対ならオール沖縄から擁立できるのか」と与党市議に聞き、知念氏を支持する思いを諦めていなかった。

 知念氏が「県民投票で示された民意は尊重されるべき」と発言したことも背中を押し、城間氏は知念氏の支持を表明した。辺野古新基地の争点化を避けたい知念陣営の戦略とも合致し、新基地建設に反対する無党派層を知念氏が一定程度取り込む原動力となった。

 オール沖縄関係者は「城間氏と与党のコミュニケーション不足だ。翁長雄志と雄治の知名度に頼ってしまった」と肩を落とす。オール沖縄の在り方に関する考え方の違いは大敗につながった。
 (’22那覇市長選取材班)