FC琉球、再建が急務 J3降格 失点増、課題克服に必要なこととは シーズン総括


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 FC琉球のJ3降格が決まった。J2参戦4季目の通算成績は8勝21敗13分け、勝ち点37の21位でシーズンを終えた。ホーム戦勝利は3試合のみ。2019年は14位、20年は16位だったが、21年は9位と順位を上げていただけに、悔しい降格となった。

FC琉球―横浜FC 試合終了後、肩を落とす琉球の選手たち=1日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(喜瀬守昭撮影)

 守備のもろさ

 チームの失点は昨季の47に対し今季は65と大幅に増え、守備に弱さがあったことは明らかだった。セットプレーや警戒すべき立ち上がり、終了間際の失点が目立った。得点は昨季の57から41に減少し、引き分けの多さも課題となった。

 琉球はボールを保持しながら主導権を握り、攻撃的サッカーを展開するスタイルで戦った。しかし自陣深くでのパスミスから点を失ったり、バックパスが多かったりと、パス回しが目的化してしまう場面が目立った。失点が先行したゲームでは点を奪うため攻撃に比重を置き、前のめりとなった守備陣の裏を狙われてカウンターから失点を重ねる悪循環に陥った。

 ターニングポイントになったのが5月25日、第18節の大宮戦だ。ほとんどの時間帯でボールを支配しながらミスで失点をした。下位同士の対決で敗れ、その後は5連敗を喫するなど泥沼にはまっていく。下位チームとの直接対決や、勝ちゲームを落としたことで自ら袋小路へと入り込んだ。残留した20位の群馬とは勝ち点差5、19位の大宮とは6差だった。シーズン途中での清武功暉や阿部拓馬らの負傷離脱も大きく響いた。

 スタイルの変化

 第23節の町田戦から指揮を執った、スペイン出身のナチョ・フェルナンデス監督は選手にスタイルの変化を求めた。守備陣のパス回しを起点とした攻撃から、相手陣地へのロングキックで攻め込む手法に切り替えた。自陣でボールを失って点を奪われるリスクは減ったが、ピッチ上の選手にはとまどいも見られた。パスサッカーを得意とする富所悠らの持ち味は消された。精度の伴わないロングボールの多用は、相手のミスやクリアされたセカンドボール狙いといった確度の低い攻めに帰結した。

 守備の課題克服に加えて、チームの基盤となるスタイルをどういう方向に持っていくのか。新監督の下、認識を共有しながら一から築き上げていくしかない。
 (大城三太)