沖尚、逆転勝ち重ね勝負強さ発揮、創部5年目でインパクト残したウェルネス<秋季九州高校野球総括>


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 高校野球の第151回秋季九州地区大会(10月22~29日)は、沖縄1位の沖縄尚学が勝負強さを発揮し、17季ぶり5度目の優勝を果たして幕を閉じた。沖尚は来春、甲子園で行われる選抜大会出場を確実なものとした。沖尚と初出場で8強入りのウェルネス沖縄(沖縄2位)を中心に、大会を振り返る。

秋季九州地区高校野球大会で17季ぶり5度目の優勝を遂げた沖縄尚学ナイン=10月29日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(ジャン松元撮影)

■得点力に頼もしさ
 

 沖尚の準々決勝の相手は因縁の明豊(大分1位)だった。3年前の秋季九州大会でも準々決勝でぶつかり、九回で逆転され敗れていた。今対決も接戦となったが最後まで集中力を切らさず、佐野春斗主将のサヨナラ打で雪辱を果たした。

 続く海星(長崎2位)との準決勝は、初回でリードしたが六回に逆転された。しかし九回、好打順で打線をつないだ。これまで先発完投の絶対的エース東恩納蒼が、6失点降板の憂さを晴らす逆転サヨナラ2点適時打を放ち、2戦連続の劇的勝利を収めた。

 長崎日大(長崎1位)との決勝は、リードされる展開にも慌てなかった。球場に駆け付けた県民の声援も受けて七、九回に佐野が2点適時打を放って突き放し、地元開催の意地を見せた。

 毎回2桁安打でチーム打率は3割8分4厘。夏の県大会で課題だった得点力に頼もしさが増した。中でも不動の1番・知花慎之助の活躍が光った。打率は7割1分4厘、出塁率は7割8分9厘でチームをけん引した。投げては東恩納が毎試合失点しながらも粘投し、野手陣が堅守でもり立てた。エースが不在でも上原秀介、照屋希空(のあ)、儀部皓太朗の継投で乗り切った。

■ウェルネス8強
 

 ウェルネス沖縄は創部5年目で8強入りのインパクトを残した。初戦は佐賀北(佐賀1位)に6―2で勝利。初回から3点を先制するなど持ち前の勢いを見せた。長崎日大との準々決勝では中盤までシーソーゲームを演じたが六、七回でそれぞれ4失点し、コールド負けを喫した。敗れた宜野座凜主将やエース上原律己は、目を赤くしながらチームの再起を誓った。

 9年ぶりの沖縄開催となった秋季の九州大会。本来は昨年、県内で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で変更された。球児たちの躍動は、コロナ禍で疲弊する県民に元気と勇気を与えただろう。

 沖尚は、11月18~23日に東京都で開催される明治神宮大会に出場する。初戦は19日午前8時半、東北代表の仙台育英と相まみえる。9年前も九州秋季大会で優勝し、神宮大会で県勢初の頂点に立った沖尚。再び優勝旗を持ち帰るため、奮闘が期待される。

(金良孝矢)