復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月13日「南ベに弾薬6万トン/在沖米軍、停戦前にかけこみ輸送」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月13日の琉球新報1面トップは、「衆院、今夕解散、総選挙へ/『4次防』など争点に/20日に公示、来月10日投票」との見出しで、衆院解散を経て12月10日投票の総選挙の流れを紹介している。関連して、沖縄地区の出馬動向として「8氏の出馬は確実/〝乱立〟で苦しい自民」との見出しを掲げ、沖縄選挙区の顔ぶれを紹介している。自民からの西銘順治、国場幸昌、山川泰邦、桑江朝幸の4氏に加え、社大の安里積千代氏、人民の瀬長亀次郎氏、社会の上原康助氏、公明の玉城栄一氏の計8氏を顔写真と共に掲載している。記事では「現職の西銘、国場、安里、瀬長、上原の5議員が先行している。しかし山川、桑江、玉城の3新人も、5万5千票台が当選圏内と踏んで激しく地盤を広げて」いる情勢という。

 12日に投票があった浦添市長選に関しては「低かった関心/投票率60.8%、きょう開票」との見出しで伝えている。

 ベトナム戦争停戦・和平に向けて交渉が進められる情勢の下で「南ベに弾薬6万トン/在沖米軍、停戦前にかけこみ輸送」との見出しで、沖縄の米軍から南ベトナム陸軍に弾薬が引き渡される予定だと伝えている。記事では、「在沖米軍筋が明らかにしたところによると」として「ベトナム和平に伴った米軍のインドシナ同盟諸国に対する〝かけ込み武器援助〟の一環として行われたもの。在沖米軍からの武器援助で、明らかにされたものはこれがはじめて。同筋によると、こんど南ベ陸軍に引き渡されるのは美里村知花弾薬貯蔵庫内の砲弾、弾丸その他の兵器となっている」と記している。

 ベトナム戦関連では「停戦調印月内にも/サイゴンの抵抗には限界」との見出しで、停戦協定調印の見通しを伝えている。

 ◇  ◇  ◇

 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。