【深掘り】玉城沖縄県知事と城間那覇市長、異例の連名抗議 オスプレイの那覇軍港離着陸 浦添移設にも言及、国にくぎ刺す


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9日に那覇軍港へ陸揚げされたオスプレイが普天間飛行場へ向けて飛行したことに対し、小野功雄沖縄防衛局長(左端)、外務省沖縄事務所の宮川学沖縄担当大使(左から2人目)に抗議文を提出した城間幹子那覇市長(同3人目)、池田竹州副知事=14日、県庁

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ3機が9日、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)から離陸した問題で、県と那覇市は沖縄防衛局と外務省沖縄事務所のトップを呼び出し連名で抗議することに踏み切った。国側は「(軍港)使用の主目的に合致する」との見解を改めて示し、沖縄の日本復帰時に米軍基地の使用目的などを定めた日米合意(5・15メモ)を根拠に飛行中止を求めてきた県との認識の溝は埋まらなかった。今回の飛行が前例となり那覇軍港や代替施設で訓練が激化する懸念が強まる。

 「那覇港湾施設の代替施設は、現有機能の確保を目的としていると移設協議会でも繰り返し確認してきた」。池田竹州副知事は抗議の冒頭で那覇軍港の浦添移設に言及し、離着陸を容認する国の姿勢に対してくぎを刺した。

■自由利用を阻止

 抗議文の差出人は玉城デニー知事と城間幹子市長の連名。政府に対して軍港関連で、知事と那覇市長が連名で抗議する初めての対応となった。

 県関係者は「今後の自由利用を阻止する目的がある。(軍港を抱える)那覇市と一緒にやることに意義がある」と連携して取り組む狙いを語った。県側の姿勢の背景には、中止要請を無視して那覇軍港からの飛行を強行した米軍と、それを容認した日本政府に対する強い不満がある。陸揚げされたオスプレイについて、県はかねて5・15メモに反する離陸を伴わない「陸送」を検討するよう促してきた経緯がある。

■飛行以外の手段も

 14日の要請で城間市長も「陸路や船で運ぶといったことは考えなかったのか」と語り、市街地や多くの民間機が離着陸する空港に隣接する那覇軍港からの飛行を強行したことに不快感を示した。

 小野功雄沖縄防衛局長は、オスプレイの那覇軍港への飛来は昨年11月が初めてだとしつつ「ヘリコプターに関しては2019年とか、それ以前にも何度かあった」と説明し、過去にも行われてきた運用だと強調した。

 これに対し県関係者は「ホワイトビーチ(うるま市)など輸送と航空機の離着陸が常態化している施設に持って行けなかったか。那覇軍港の5・15メモを超える利用は認められない」と述べ、那覇軍港での運用を既成事実化しようとする国をけん制した。
 (知念征尚、池田哲平)