復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月16日「精神錯乱と主張/日本人従業員射殺時件で米兵」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月16日の琉球新報1面トップは、「県職員給与、基本給11・07%アップを勧告/県人事委員会/4月1日そ及実施/国家公務員に準じる」との見出しで、県職員の給与について報じている。記事では、人事委員会の見解として「復帰後の民間給与、県職員の給与の実態を調査のうえ国家公務員の給与改定に準じて給与改善を行うもの」と説明している。ただ「通貨交換に伴う復帰後の物価の状況は『国や県から復帰後の消費者物価指数が公表されていないため資料が得られなかった』として、物価の変動は加味されていない」と付記している。

 米軍キャンプ・ハンセン内で日本人従業員を射殺したとして殺人の罪に問われた米海兵隊上等兵の第1回公判を伝える記事では「〝精神錯乱〟と主張/上等兵/医師など8人の証人申請」との見出しで、米兵の被告人側が「犯行時、被告人は心神喪失状態だった」と主張したことを報じている。記事では、被告人側の姿勢として「事件直後上等兵を診断した米海兵隊の精神科医、テキサス大学のカウンセラーら8人を証人に立て、無罪を目標に裁判を争う構えをみせている」と記している。

 告示された那覇市長選に関して「両候補、激しい攻防/那覇市長選立会演説会/憲法都市を目指す 平良候補/福祉対策に最重点 翁長候補」との見出しで、白熱した候補者の演説会の様子を伝えている。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。