復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月18日「米空母の横須賀母港化、新極東戦略の一環か/嘉手納基地も増強」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月18日の琉球新報1面トップは、「新局等戦略の一環か/米空母の横須賀母港化/嘉手納基地も増強か/戦略的重要性高まる」との見出しで、北東アジアにおける米軍展開において日本の位置の重要性が高まっていると伝える記事を掲載している。記事では「防衛当局者は横須賀港の母港化が『ポスト・ベトナム』へ向けた新しいアジア戦略体制の中で不可欠の要素であったことを一致して認めている」と記している。関連で「緊張緩和に逆行/母港化で野党、一斉に反発」との記事も掲載している。

 沖縄県が石川地域へのアルミ企業誘致を断念し、アルミ企業側も石川地域以外だと沖縄進出を断念する意向が示されている件で「『アルミ』可能性残す/県、振興計画で与党に説明」との見出しで、沖縄県振興開発計画の目標で企業誘致の対象枠を広げて盛り込んでいることを紹介している。振興開発計画では県民所得を全国水準の80%と設定し、その実現のための大きな柱として企業誘致を掲げていた。

 11月19日投票の那覇市長選に向けて「那覇市長選、あす投票/低い関心/投票率70%割る?」との見出しで、終盤の様子を伝えている。

 サトウキビ価格の設定に向けて「干ばつ被害も考慮/政府、キビ価格などで答弁書」との見出しで、政府が喜屋武真栄参院議員の質問主意書に答えたキビ価格設定の方針を紹介している。関連して「キビ価格、きょう発表」との記事も掲載している。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。