復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月21日「強まる反自衛隊闘争、那覇市長選で平良氏再選」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月21日の琉球新報1面トップは、20日公示の衆院選で沖縄から8人が届け出ていることに関して「まず、中部・那覇に攻勢/衆院選、県下8候補/〝基地〟〝経済〟争点に/那覇市長選の影響微妙」との見出しを掲げている。記事は「自民党は県連が3候補とは別に全県遊説を始めることにしている。革新側も共闘会議で『反自民に結集』するとの意見一致をみたため、基地問題、沖縄経済開発の方向をめぐっての論戦も激しくなろう」と指摘している。

 衆院選関連で「山川氏を除名/自民党沖縄県連」との見出しで、自民所属の山川泰邦氏が無所属で立候補したことが党規違反だとして自民県連から除名処分されたことも紹介している。

 19日投票の那覇市長選で革新共闘が推した現職の平良良松氏が翁長助静氏を破って再選したことを伝える記事は「強まる反自衛隊闘争/平良氏再選/問われる革新の真価」との見出しで伝えている。記事では「革新市政が市民の信任を得たことになるが、約7万7千人の棄権にも見られるように、前途はかなりきびしいものがある。むしろ、向こう4年間の市政に革新の真価が問われることになりそう」と記している。

 選挙の裏話などを連載する「選挙レーダー」は「気になる届け出順番」との見出しを掲げる。記事では「『順番はどうでもよいとは思ったが、やはりネ』と各選対参謀は、当たり番号を読み替えるのに腐心することしきり」と記し、各選対が、抽選で得た届け出順番の数字をいかに当選への縁起担ぎにつなげようとしているかを紹介している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。