ワクチン規制の緩和必要 コロナ後の沖縄観光 ANA社長 井上慎一氏<焦点インタビュー>


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水際対策の緩和などが必要だと話す全日本空輸(ANA)の井上慎一社長=4日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 2022年9月中間連結決算で、中間決算としてはコロナ禍前の19年以来3年ぶりの黒字に転じた全日本空輸(ANA)。売上高は前年同期比83・4%増の7907億円になるなど、業績は回復基調にある。ANAの井上慎一社長に今後の取り組みなどを聞いた。

 ―コロナ禍からの回復は。
 「回復してきている。4月から緊急事態宣言など人の移動の制限がなくなった。感染予防対策が徹底してきている。それをベースにして、10月11日から水際緩和がされ、インバウンド(訪日客)が活性化してきた。インバウンドは水際緩和のアナウンス前と後で、12月のフライトは日本発が約2倍、海外発が約5倍まで膨らんだ。旅行需要や移動ニーズが高まっている。しかし、国内はコロナ前の需要に完全に戻りきっているとはまだいえないだろう」

 ―沖縄路線の見込みは。
 「沖縄路線は全国旅行支援の影響で需要が増している。沖縄はインバウンドにとっても魅力があるので、今後も伸びていくと思っている。コロナ禍で3年がたっているので、季節がずれても沖縄に行ってみたいとは思うだろう。夏のマリンアクティビティなどに限らず、町並みや自然などを求めて沖縄にくる人も多い。ニーズの調整をしなくてはならない」

 ―今後の取り組みは。
 「このパンデミックで沖縄の観光産業は傷んでいる。旅客が戻っても経営が傷んでいるので、経営の体質強化につながる施策を考えている」

 ―沖縄観光の発展のためには何が必要か。
 「より多くの観光客が国内外からくるようなムーブメントが必要だ。その中でも、よりお金を使う取り組みが必要だと考える。観光関連業界がみんなで知恵を出し合い、水際対策の緩和など、官民一体となって盛り上げていくことが大事だ。日本はまだワクチン3回接種という厳しい条件を設けているが、せめてG7並みのワクチン2回接種で良いような規制緩和が必要だ。観光業界の衰退は文化の衰退でもあり、インバウンドの思う魅力がなくなってしまうのは危険なことだ。全体で観光業を盛り上げていかなくてはと思っている」
 (聞き手・與那覇智早)