【うるま】まるで今にも踊り出しそうだ-。130年の歴史を誇る沖縄県うるま市屋慶名区の屋慶名エイサーを、同区出身で現在は沖縄市に住む狩俣房枝さん(70)が精緻な人形で“再現”した。エイサー人形は21体で、今月26日に開催される同市の福祉まつりに出展される。
10年前、浦添市でエイサー人形の展示を見たのが制作のきっかけ。感動した狩俣さんは、エイサー好きで、特に演舞の隊列で先頭に登場する「酒カタミヤー」の口上が好きな母・兼久澄子さん(99)に、人形を作って贈ることを思い至ったという。
しかし、裁縫経験がほとんどなかった狩俣さん。ある縁で浦添市の自宅で人形制作を指導している友利利和子(71)さんを紹介された。
人形制作の基礎を学び、5年前から本格的にエイサー人形づくりに着手。青年会に出向き衣装や道具類を見せてもらい、さらに本番のエイサーを動画収録し、隊列や踊り手の所作、表情も細部にわたり研究した。
人形は20センチ前後の高さ。制作したのは旗頭、酒カタミヤー、地謡、大太鼓、パーランクー、男女の手踊り、チョンダラーの計21体。派手な格好が真骨頂の太鼓隊の錦紗の頭巾、陣羽織、打ち掛けなどを忠実に再現した。
小型の人形ながらあふれる躍動感。表情や体形づくりでサポートした友利さんは「素晴らしい仕上がり」と太鼓判を押した。
狩俣さんは「先生の助言がなければ完成できなかった」と感謝。また「エイサー好きの母が今年白寿を迎えた節目に完成したので感無量。エイサー文化がいつまでも続くよう強い願いも込めています」と話し、福祉まつりでの反応を楽しみにしている。
(岸本健通信員)