延長歓迎だが改善要望も 県内観光業「直接支援を」


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全国旅行支援の影響を受け、観光客らで賑わう国際通り=25日、那覇市の国際通り

 政府の観光需要喚起策全国旅行支援の年明け以降の延長決定を受け、県内観光業界からは歓迎の声が上がった。

 県は25日、おきなわ彩発見NEXTを12月27日まで延長し、感染状況を見極めた上で、年明け以降も割引率など制度の見直しを行いながら実施すると発表した。10月11日から31日までに、当初予算377億円のうち、旅行割引と地域クーポンを合わせて約63億円を執行した。今後は地域クーポンを発行する宿泊施設に向け、発行の手当を支給する予定だとした。

 ロワジールホテル那覇の武田寛枝総支配人は「客室稼働率は平均65%ほどだが(支援が終了する予定だった)12月21日以降の予約は30%まで落ちていた。延長はありがたい」と笑顔を見せた。

 観光庁は年明け以降の需要喚起策について、原則として電子クーポンにするとしている。日本旅行業協会(JATA)沖縄支部の與座嘉博支部長は「延長はありがたい。電子クーポンになって利便性が高まることを期待したい」と話した。

 ステーキハウス88を展開する沖縄テクノクリエイト総務部の仲里太陽氏は、売り上げの6~7割を地域クーポンが占めているとして、延長を喜んだ。その上で「紙のクーポンで読み込みエラーなどが出ていたため、電子クーポンの際は準備が整うように早めに連絡してほしい」と提言した。

 延長を歓迎した上で、制度の改善を求める声も多い。琉球バス交通の大城逸雄常務は「地域クーポンは定期観光バスに利用できるため、個人旅行客は増えている」と話した。その上で「コロナは落ち着き、支援がなくても観光客は来るので、需要喚起になっているのか不明だ。それよりは観光事業者への真水の支援が欲しい」と訴えた。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「沖縄はこれまでブロック割などの効果を得られなかったので、短い期間で効果を得るのは難しいと訴え続けてきた」と話し、さらなる延長の必要性を主張した。「需要喚起には効果はあったが、クーポン券を手配する宿泊施設には人手不足の中で重荷だった」と指摘し、経営面での直接補助を含めた支援を行政に求めた。 (與那覇智早)