沖縄から見える日本の民主主義の成熟度とは 記者らが沖縄報道を討議 法政大で復帰50年シンポ


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法政大学の沖縄文化研究所の創立50周年を記念して開かれたシンポジウム=26日

 【東京】「いま沖縄を語る言葉はどこにあるか」をテーマにしたシンポジウムが26日、都内の法政大学で開かれた。在京メディア関係者や琉球新報、沖縄タイムスの記者らが登壇し「復帰50年目のジャーナリストたちの挑戦」を副題に討議した。法政大の沖縄文化研究所の創立50周年を記念して開催された。

 琉球新報の松元剛常務(前編集局長)は、民主主義の成熟度を問うと題して講演。辺野古新基地建設など沖縄の意思表示を一顧だにしない日本の現状に言及。「沖縄はいつまで日本の民主主義が成熟しているかを問う棘(とげ)、リトマス試験紙のような役割を負わねばならないのか」と日本の民主主義の現状に疑問を呈した。

 TBSの佐古忠彦さんは「戦後レジームからの脱却という言葉があるが、一番古いレジームは沖縄に押しつけたままだ」と自らにも突きつけられた使命を挙げた。

 共同通信の新崎盛吾さんが司会を務めたパネルディスカッションでは、沖縄と日本全国の報道の温度差などを討議した。NHKの鎌倉英也さんは「小さな声を意識的に取り上げるのがメディアと考えるが、永田町が近いせいか、大メディアほど、そういう意識が低く、薄い」と指摘した。

 在京メディアへの注文について沖縄タイムスの謝花直美さんは「占領被害は日本にもあるにもかかわらず、足元の占領が意識されない。有事、軍事が支配的になる中、メディアはいつ反対できるのか、動ききれるのか、心配だ」と懸念した。

(斎藤学)