医療材料を沖縄で開発へ 甲南化工、うるまに止血材製造所


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止血材の開発製造のために導入された施設の稼働を祝う(左から)青葉化成の石田一会長、大阪公立大の大畑建治特任教授、甲南化工の亀澤誠社長(提供)

 うるま市にある沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターで医薬品製造などの事業を手掛ける甲南化工(大阪府)はこのほど、新たな技術を使った止血材の委託製造所を同センター内に開設した。村中医療器(大阪府)や青葉化成(宮城県)、大阪公立大学医学部の研究者らが国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて開発した。付加価値の高い医療機器・資材の製造で、離島県という地理的なハンディーの克服が期待されている。

 体内で扱う医療機器・資材の分野で、国産で安価に生産できるという。事業の臨床医は「価格的、機能的に、患者さんに安心して使用してもらえる。執刀医にとっても安心して使用できる止血材。将来、日本のみならず途上国を含め幅広く使用できる」と可能性に期待した。

 製造するのは、非ヒト由来の素材を使った神経や血管など微細な組織を止血するための医療品。製造所は独自の設備を導入し高度な管理医療機器(資材)の製造が可能になったという。

 沖縄は開発生産から販売流通までのサプライチェーンマネジメントで地理的な課題を抱えるが、開発担当者は「この壁に挑戦するモデルケースとして取り組んみたい。これが成功すれば、今まで難しいとされていた沖縄での医療材料開発の懸念は払拭されると思う」と意義を強調した。

 順調に進めば2024年には使用に向けた審査申請に入る予定で、今後関係各所と連携し、沖縄製造発の医療材料として開発事業の進展を目指す。 (謝花史哲)