プロへ準備着々 ドラフト指名、県選手ら


社会
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 22日のプロ野球ドラフト会議で指名を受けた県関係7選手はプロ入りへ向け、着々と準備を進めている。西武から8位指名を受けた第一工業大の國場翼投手(具志川高出)は亡き父との約束だった夢の舞台へ扉を開き「父も見守ってくれている」と語る。ブラジル出身で県系2世の仲尾次オスカル投手(Honda)は広島から6位指名を受け「沖縄の人たちにも活躍を見せたい」と意気込む。巨人3位の與那原大剛投手(普天間高)、ヤクルト4位の日隈ジュリアス投手(桑江中―高知中央高)は球団から指名あいさつを受け、プロへの決意を新たにした。

西武からドラフト8位で指名され「父との約束を果たせた」と喜ぶ國場翼=26日、鹿児島県の第一工業大グラウンド(諸見里真利撮影)

<西武・國場翼>亡父との約束胸に挑戦
 22日のプロ野球ドラフト会議で西武から8位指名を受けた鹿児島・第一工業大の國場翼投手(21)=具志川高出。プロ入りは亡き父勝さん(享年48)との約束だった。
 高校時代は県内球界でも無名の存在だったが大学進学後、急成長を遂げて道を開いた。「諦めようと思ったこともあったけど、父からずっと『継続は力なり』と言われてきた。きっと上から見守ってくれている」。父の教えを胸にプロへと羽ばたく。
 國場が高校1年の時、勝さんが病気で亡くなった。勝さんは少年野球チームのコーチを務め、ずっと二人三脚でやってきた。大切な存在を失い、喪失感に襲われたが病床の父と交わした「絶対プロに行く」という約束が支えになった。
 具志川高のエースとして活躍したが3年の夏は3回戦で敗れ、高校野球は終わった。「もう野球は無理かな」。諦めかけていたが第一工業大から誘いを受け、夢がつながった。
 プロ入りを「憧れ」ではなく「目標」と捉え、体づくりからやり直し、じっくりフォームを固めた。高校時代、65キロだった体重は81キロに増え、球速は148キロまで伸びた。3年秋の鹿児島県大学野球リーグ戦で最優秀投手に選ばれ、プロから注目される存在になった。
 「父にたくさん怒られたけど、今になって思えばその一つ一つが自分の糧となっている」と言う。ドラフト指名を受け「約束を守れてよかった。喜んでくれていると思う」。父とともに夢見たプロの舞台で勝負をかける。(荒井良平)

   仲尾次オスカル

<広島・仲尾次オスカル>ファンの期待に 6位指名に決意
 ことしのプロ野球ドラフト会議で広島から6位指名を受けた仲尾次オスカル投手(Honda)が27日、琉球新報社の取材に応じ、「ファンの期待に応えられるような選手になりたい」と決意を述べた。
 仲尾次はブラジル出身だが、父親は名護市、母親は那覇市の出身。沖縄には大学1年生のころに遊びに来たことがあり、「ふるさとだという思いを持っている」と語る。広島は沖縄でキャンプをしており、「とても楽しみ」と声を弾ませた。そして「沖縄の人たちにも活躍している姿を見せたい」と意気込んだ。
 理想の選手は同じ広島の前田健太投手。目標は「1軍で活躍すること」と言う。プロのマウンドを見据え、「ストレートには自信がある。自分の最高の球を投げたい」と力強く語った。
 ことしのドラフト会議では県出身の6人が指名を受けており、仲尾次を含めると県関係は過去最多の7人がプロへの一歩を踏み出した。
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 なかおし・おすかる 1991年3月28日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。カントリーキッズ高、白鴎大を卒業。身長178センチ、体重78キロ。左投げ左打ち。2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でブラジル代表として日本戦などに登板した。

巨人の指名あいさつを受けた普天間高の與那原大剛(中央)と巨人の山下哲治氏(右)、武田康氏=28日、普天間高

<巨人・與那原大剛>ファームで基礎つくる
 プロ野球・巨人の山下哲治スカウト部長らが28日、普天間高を訪れ、ドラフト3位で指名した與那原大剛投手にあいさつした。與那原は「ファームでしっかり基礎をつくって数年後は巨人のエース、日本を代表するエースになりたい」と抱負を語った。
 巨人から山下部長と武田康・九州地区担当スカウトが同席した。山下部長は「力投型だが完投能力が高い。こういうタイプは少ない。何年か後にはローテーションの一角に入ってくるという判断で指名させていただいた」と説明。「(元大リーグの)野茂(英雄氏)が高校生の時よりも能力が高い」と評価した。
 與那原は「目標は(日本ハムの)大谷翔平投手。球も速くて変化球も切れて、勝てるピッチャーになりたい」と意気込んだ。