受け継がれたつゆ染みる伝統のおでん、朝ドラの影響で人気のメニューも いこい(うるま市)<うちなー味まーい>68


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大きな具材にたっぷり味が染みこんだおでん(手前)とチャンプルー

 大皿に盛られているのは、こぶし二つ分の大きさのテビチに、厚みたっぷりの大根、そのほかの具材もボリュームが半端ない。見ているだけで幸せな気分になるが、口に運ぶと確信に変わる。「おいし~」。口にせずにはいられない。ここはうるま市平良川にある、55年の歴史がある、おでん屋「いこい」。

 まっくろなつゆは、かつお節に鶏ガラに豚だしを継ぎ足し継ぎ足しで大切に受け継がれてきた伝統の味だ。「見た目とは違って意外とあっさりしているでしょ。でも味はしっかり染みこんでいるでしょ」。2代目店主で1975年から47年、店を切り盛りする又吉とよ子さん(74)は穏やかな表情で笑う。又吉さんが話しているそばから夕食のおかずにと思われる人たちが、鍋やタッパーを手に次々と店ののれんをくぐる。

 朝早くから仕込み作業をし、時間をかけて煮込む具材はどれも箸がすーっと入るほどやわらかい。夢中で食べていたら、横から酢じょうゆを出された。「これに付けてみて」。味に変化が出て、またまた箸が止まらなくなる。

 おでんを看板メニューに掲げているが、家庭料理も豊富だ。最近は、朝のテレビドラマ「ちむどんどん」の影響で、観光客を中心にフーチャンプルーなどのチャンプルーメニューが人気という。「メニューは自分が食べておいしいと思うものを出しているからどれもおいしいはず。食べてみて」。こちらも箸が進む。

 午前5~7時は弁当販売、営業は午前11時30分~午後10時。火曜定休。うるま市平良川206の2番地(具志川郵便局向かい)。電話098(973)4061。

(新垣若菜)

「おいしい料理でみんなのお腹を満たしたい」と語る店主の又吉とよ子さん