荒木が最年少で総合V SUPワールドツアー最終戦 16歳、力を出し切り快挙達成


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スプリントレースで力強くパドルをこぐ荒木珠里(APP World Tour/Si Crowther)

 スペイン南東部アリカンテのビーチで9~11日に行われた、SUP(スタンドアップパドルボード)のAPPワールドツアー最終戦で、名護市の荒木珠里(16)=NHK学園高1年、KANAKA沖縄=がスプリントレース(約200~300メートル)で2位、ディスタンスレース(約11キロ)で初の1位、総合で史上最年少の優勝となった。今季本格参戦の年間シリーズで2位となり、日本人初で最年少の快挙。田口頼=本部・八洲学園大国際高出、SIC MAUI所属=は年間5位だった。同ツアーは来年2月までに世界各地で計7戦を行う予定だったが、第6戦が来季に持ち越しで第7戦も開催がなくなり、第5戦で最終となった。

 初本格参戦の世界ツアー最終戦で、持てる力を出し切り快挙を成し遂げた。海外選手より体格で劣る荒木珠里だが、今季は世界の厳しさと勝利の喜びの両方を味わう年になった。年間シリーズ優勝はあと一歩及ばなかったが、「来年はチャンピオン目指して頑張りたい」と気合は十分だ。

 スプリントはこれまで準決勝敗退が続いていたが、今回は成長を見せた。準決勝は世界王者のコナー・バクスター(米国)ら強敵が相手だった。しかし第3ターンで、利き足に頼らないスイッチスタンスを生かし、上位2人を素早く抜いて1位通過。決勝はコナーに越されたが、ここ数カ月鍛えてきたスプリント力を保ち2位でゴールした。

 「この先、世界王者のコナーを倒せるようこぎの精度を上げ、全てを極めたい」と雪辱に燃える。続くディスタンスは、スタートから飛ばしてきたスペイン選手の後に付け、体力を温存。2周回目のターンで追い越し、そのまま先頭を突っ走り堂々の優勝だった。

 今季はゴール直前で当たり負けして敗れ、苦しい経験もした。それでも「全部があって僕がある」と糧にする。今回は9歳の妹・夏南風(かなか)=緑風学園久志小3年=が初めて同行し、オープン参加のレース2種目で優勝したことも励みになった。

 今季は、最も得意とする追い風のダウンウインドレースはなかったが、来季は開催予定という。「沖縄で練習してきた成果を出したい」。16歳の躍進は続く。
 (金良孝矢)