中小協力でDX推進 企業セミナー 県内成功事例紹介


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
基調講演を行う沖縄ITイノベーション戦略センターの稲垣純一理事長=20日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館(大城直也撮影)

 琉球新報社と沖縄タイムス社は20日、「県中小企業向けDX推進セミナー~IT導入で課題解決~」を那覇市の県立博物館・美術館で開催し、会場とオンラインを含め200人以上が参加した。沖縄銀行と琉球銀行が共催した。

 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の稲垣純一理事長が「沖縄振興計画とDX推進」というテーマで基調講演を行った。稲垣氏は「Society4.0から5.0への遷移に向けて、中小企業の多い沖縄は企業で協力して移動の道をたどる必要があるだろう」と話した。

 沖縄銀行法人事業部の砂辺孝夫上席調査役と琉球銀行ペイメント事業部の石井誠部長代理が、県内中小企業向けのDXサービスを紹介した。

 砂辺氏は沖縄そばの製造・販売を行う三倉食品(西原町)の事例を紹介した。同社は県外市場進出を図るために、受発注を効率化する中小企業共通EDIを導入した。

登壇者に拍手を送るセミナー参加者ら

 受発注に関するクレームは紙ベースで対応していた際の月間40件程度から5件に、クレームの対応時間も50時間から2時間に減少したという。

 石井氏はキャッシュレス化の成功事例として、与那国町の6割以上の店舗でキャッシュレス対応がなされていることや、県内観光系路線バスでタッチ決済を導入していることを報告した。

 オーシーシー(浦添市)の浜田茂治氏は、DXに取り組む企業が国内で8%しかないのはIT人材不足が背景にあると指摘。同社のITコンサルタントサービスの利用を紹介した。

 楽しいメディアカンパニーOKINAWA(那覇市)は「ロボットで業務プロセスを自動化するRPAを導入することで、人的コストの削減や業務の精度の改善、従業員満足度の向上が見込める」と話した。RPA市場規模は2018年から23年までの5年間で4.5倍以上に成長すると予測されていることを報告した。

 IT導入補助金事務局は、IT導入補助金の概要と利用方法について説明し、中小企業のデジタル化の相談ができるデジタル化診断の「みらデジ」を紹介した。 (與那覇智早)