センバツ出場の沖縄尚学「永遠のライバル」に黒星、闘争心に火「もっとレベルアップする」


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みなぎる意欲と力でさらなる飛躍を誓う沖縄尚学の選手たち=八重瀬町の尚学ボールパーク

 2023年春の主人公は俺たちだ―。22年の秋季九州大会で優勝した沖縄尚学は、第95回選抜高校野球大会(3月18日から14日間・甲子園)への出場を確実にしている。大会ごとに勝負強さを増して進化中の沖尚から目が離せない。

 文・金良孝矢、写真・ジャン松元

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悔しさは成長の力 センバツへの道

 現チームとしてのスタートは悔しさから始まった。前チームは夏の県大会で興南に敗れて準優勝。思いを引き継ぎ、最初の新人中央大会の準決勝で再び興南と対戦するも、1点差で敗れた。

 だが「永遠のライバル」(比嘉公也監督)に黒星を喫し闘争心に火が付いた。チームは「全員で束になり絶対に倒す」(佐野春斗主将)という目標を掲げ、個々で取り組む練習を強化。チーム力を増して県秋季大会へ臨み、準決勝では興南にコールド勝ちで雪辱を果たし、勢いそのままに優勝した。

 地元開催の九州大会は、県民の声援を力に変え17季ぶり5度目の頂点へ。特に準々決勝の明豊(大分)戦、準決勝の海星(長崎)戦でサヨナラ勝ちする勝負強さが際立った。続く明治神宮大会は初戦で、夏の甲子園優勝校・仙台育英(宮城)に逆転サヨナラ負けを喫したが、八回までリードする地力を見せた。

 チームは新たな悔しさを糧に再び闘争心を駆り立てる。東京から沖縄に帰って1週間後、チームが掲げた選抜での目標は「優勝」の二文字。佐野は「負けは絶対に忘れない」と選抜で借りを返す覚悟だ。

 冬の間は足腰を徹底的に鍛えるなどし、敗戦から得た課題をつぶしていく。仙台育英戦で先発し最終回で5安打を浴びたエース東恩納蒼は「思うような投球ができなかった。冬に真っ直ぐの球威を上げていきたい」と余念はない。

 沖尚の春の甲子園出場は9年ぶり。指揮官は「残された期間できっちりやっていきたい」とチームを引き締める。チームをけん引するリードオフマン知花慎之助は「もっとレベルアップしていく」とさらなる成長を誓う。

 負けから多くを学び躍進を続けてきた沖尚が、春のひのき舞台でてっぺんを取りにいく。

九州大会で力投する東恩納蒼
不動の1番打者・知花慎之助