本島北部も「人工透析」綱渡り 満床に人手不足…「地域医療すでに崩壊」 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 本島北部地域の透析医療が人材や人工透析施設の不足により、綱渡りの状態となっている。透析施設は6施設あるが、すでに満床状態で、新たな患者の受け入れにも窮している状態だ。県透析医会の宮平健副会長は「大前提として医師や看護師、施設が足りない。透析患者が地元で透析が受けられないという意味では地域医療がすでに崩壊している」と語る。

 透析施設の「たいようのクリニック」(名護市)の院長でもある宮平医師によると、北部地域の透析患者は6施設に約380人おり「どこも満床状態」という。仕事と治療を両立させるため、中部地域の夜間透析施設に通う患者は含まれていない。

 透析導入に必要なシャント手術や血管拡張手術も、現時点では経験や実績が豊富な中頭病院や牧港中央病院へ協力を依頼している状態だ。

 透析に至る前の腎臓病治療については、県立北部病院に腎臓内科があるが専門医は1人しかおらず、過重負担のため他院からの紹介を受け付けていない。そのため、北部から中頭病院に通う腎臓病患者もいるという。宮平医師は「北部では綱渡りの状態だ」と訴える。

 沖縄県腎臓病協議会(國吉實会長)は早急な体制整備が必要として、昨年11月、県に嘆願書を提出している。
 (嘉陽拓也)