【宮古島】働き手が出資して、地域や社会に必要な仕事を自ら創出して働く「協同労働」を取り入れた法人「かりまた共働組合」を、宮古島市平良狩俣の住民7人が県内で初めて設立した。高齢化の進む同集落が抱える課題解決へ意見を出し合い、解決策を事業化することで「地域づくりを仕事に」する。31日、設立報告会で理事長の根間太一さん(27)は「住民の小さな幸せを増やしていきたい」と語った。
狩俣集落は宮古島の北端に位置し、約200世帯が暮らす。幼稚園が一時、休園するなど少子高齢化が進む「過疎集落」でもある。共働組合の理事で、狩俣自治会長の國仲義隆さん(51)は「なんとか活性化したいと考え続けていた」と話す。自治会が中心となって取り組みを進め、2021年に幼稚園が再開した。
幼稚園の給食がないため自治会有志で弁当配食サービスを始めた。集落から離れた市街地の病院や学校に通う、高齢者や高校生の送迎サービスにも取り組んだ。
22年10月に「協同労働」に法人格を与える「労働者協同組合法」が施行された。國仲さんは「絶妙なタイミングだった。知恵を出し合い得意分野で支え合う。法人化することで地域づくりが仕事になる。狩俣にぴったりだった」と振り返る。同年11月、自治会を母体として「かりまた共働組合」を設立、23年1月に県が届け出を受理した。
組合の出資者は漁師や主婦など職業もさまざまな男女7人。出資金は一人1万円。得意分野に分けてチーム制を導入した。
主婦が中心の「むすびや」が保育園への弁当配食などを担う。狩俣の言葉で海と畑を意味する「いんぱり」は漁師が中心となって、海産物や農産物の販路拡大事業を展開する。「ばぎだま(分け合い)」が送迎サービスや組合事務を担当する。他にも空き家を活用した定住促進事業なども実施予定。
根間理事長は「SNSの活用など新しいものも取り入れたい。狩俣の取り組みが他の地域にも広がっていくよう頑張りたい」と誓った。
(佐野真慈)