スイスから突然SNSで「平敷屋エイサーを教えてほしい」 エマさん、本場で習得に熱 沖縄・うるま


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保存会の手ほどきを受けて平敷屋エイサーを学ぶスイス人のエマヌエル・ハンさん(左)=10日、うるま市平敷屋

 【うるま】沖縄の伝統芸能に魅せられたスイス人のエマヌエル・ハンさん(42)がこのほど、本場のエイサーに直接触れたいと、県内最古のエイサーが残るうるま市の平敷屋を訪れた。平敷屋エイサー保存会のメンバーが衣装の着付けを行い、演舞指導した。「エマさん」と呼ばれ親しまれたエマヌエルさんは、地謡の演奏に合わせて歩を進め、独特な足の運びや念仏踊りとしての目線の落とし方などを熱心に練習した。

 受け入れたのは地元で「宿&喫茶アガリメージョー」を運営する真栄里良人さん。スイスで生まれ、現在もスイスに暮らすエマさんは、2006年の沖縄旅行で初めてエイサーに出合い、独特な動きや音楽に衝撃を受けた。歌詞は聞こえた通りに書いて覚え、踊りは動画サイトなどを通じて勉強し、現在は5曲程度の沖縄民謡を弾いて歌えるまでになった。

 昨年9月には地元の文化体験を発信している真栄里さんのSNSに「平敷屋エイサーを教えてほしい」と問い合わせた。外国からのメールに「最初は迷惑メールかと思った」と振り返る真栄里さん。次第にエマさんの知識量と熱量に心を動かされ、メールのやりとりは3カ月で20回を超えた。

 エイサーを教えた保存会の仲尾清治さんは「初めてで、しかも外国の人がここまで踊れるとは驚いた。真栄里さんの地道な情報発信が、今までにない動きを生み出していることにも感謝したい」と笑顔で話した。

 滞在中にサポートした真栄里さんは「エマさんは海の向こうからゆがふを運んできた。地域が外から評価されることで、誇りを再認識し、結束力も増す」と話した。体験を終えたエマさんは「多くの人と一緒に踊りたい。スイスに帰っても友人たちと練習を続ける」と活動継続に意欲を示した。
 (石川優子通信員)