【識者談話】PFAS、農作物への影響は? 研究少なく調査が急務 原田浩二・京都大准教授(環境衛生学)


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原田 浩二氏(京都大准教授)

 有機フッ素化合物(PFAS)の有害性は、これまで水に関する研究が主で、農作物に関する研究は少ない。

 ただ、PFASを含む水をまいた土壌からPFASが農作物に移行することは分かっている。農作物の種類によるものの、土壌中のPFOSは約0・2%、PFOAは1%前後、PFHxSは5%前後が農作物に移行するという研究がある。特にPFOAは農作物を介して摂取した人の血中濃度が高くなる事例が確認されている。

 沖縄では、県企業局が努力した結果、水道水に含まれるPFASが低減されてきている。今後は農業用水、土壌、農作物を介した摂取が問題となってくるだろう。

 国は農業用水に関する基準を設定しておらず、県や市は使用を控えるかどうかを判断できないというだろう。だが水道水にせよ農作物にせよ、PFAS対策はいかに摂取量を減らしていくかが鍵だ。

 農作物を介した摂取の影響がよく分かっていないからこそ、それを判断するためにPFASが農業用水から土壌、農作物にどのように移行していくのかを調査・研究することが急務だ。
 (環境衛生学)