
「見たことない色をしている」自慢の海もアーサも真っ黒 沖縄・伊是名の糖蜜流出 におい漂い「廃棄するしか…」生産者落胆

流れ出た大量の糖蜜が、収穫最盛期を迎えたアーサの緑が広がる海を黒く染めた―。沖縄県伊是名村のJAおきなわの製糖工場からの糖蜜流出を受けて3日、地元では環境や生活への影響を懸念する声が上がった。県は週明けにも、糖蜜の処分方法が適切だったかを含めて現地調査する方針。
「海が見たことのない色をしていた」。同村でアーサを生産する男性(33)は、収穫のため3日朝から海に入ろうとしたところ、変貌した海の様子に驚いた。この日が初日で、今季は3トンを収穫する見込みだった。「アーサの色が変わり、甘いにおいもするので廃棄せざるを得ない。勘弁してほしい」と肩を落とした。

村の職員や漁協関係者は3日、工場でJAおきなわの職員らから説明を受けた。足を運んだ奥間守村長は「環境にどのような影響があるのか把握したい」と語った。
JAおきなわの前田典男理事長は流出を受けた3日の記者会見で、アーサの被害への対応を問われ「誠心誠意、補償に努めていきたい」と説明した。地元の小学生が植え付けしたアーサにも被害があることにも触れ、謝罪の言葉を述べた。
JAによると、工場では糖蜜を千立方メートルの容量のタンクで保管している。パイプの流動をよくするために使用していた温水が、何らかの理由でタンクに入って混ざってしまったという。水が混ざった糖蜜は売り物にならないため、今月1~2日にかけて近隣の空き地でまいて処分した。
この空き地は「沈砂池」と呼ばれる、赤土流出対策で確保された用地で、普段からサトウキビの残さなどを保管していたという。ここから周辺の側溝を通じて海に流れ出たとみられる。
処分は適切だったのか。県環境部は週明けにも現地に職員を派遣し、水質汚濁防止法や廃棄物処理法などの環境法令に抵触するかなどを調査する。
(當山幸都、増田健太、安里周悟)