新装開店で区民の憩いの場に 漢那共同売店 全日食チェーン加入で売り場を充実 沖縄・宜野座


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「区民に貢献したい」と話す漢那共同売店の伊差川研作さん(右)と全日本食品の大西健斗さん=1月24日、宜野座村漢那

 【宜野座】2020年にコロナ禍で数カ月閉店した後、同年10月に営業を再開した宜野座村の漢那共同売店が1月27日、全日本食品が運営するチェーンに加入する形でリニューアルオープンした。同売店の伊差川研作さん(43)は「区民が集い、憩いの場所として共同売店を守っていきたい」と意気込んでいる。

 オープニングセレモニーが同日開催され、関係者が共同売店の再出発を祝った。来店した住民らからは「使いやすくなって上等」「商品が増えた」など喜びの声が上がった。

 漢那区の共同売店は経営難により二十数年前に閉業。13年、区民の要望を受け、現在の敷地面積181平方メートルの場所に鉄骨造り平屋建ての共同売店「デリデリ」が営業を開始した。だが、デリデリもコロナ禍で営業継続が厳しくなり、20年に閉店した。

 「遠くにあるコンビニエンスストアにおばあちゃんたちが歩いて向かう姿を見て『共同売店はやはり必要だ』と感じた」。一般社団法人Estage(宜野座村)の代表を務める伊差川さんは地域の高齢者が不便を強いられている現状を目の当たりにし、共同売店の継続を決意。20年10月に共同売店を受け継ぎ、営業を続けてきた。

 しかし、小規模販売店特有の品ぞろえの不十分さや商品販売価格の高さからの客離れ、コロナ禍による国内外からの観光客の減少、光熱費の高騰などで売り上げが伸び悩み、営業継続が困難な状況に陥った。

 こうした中、全国の共同売店や個人小規模店舗など約1600店舗の加盟店を持つ全日本食品(東京、平野実社長)の営業で沖縄の共同売店を訪問していた大西健斗さん(36)と出会い、昨年11月から12月にかけて共同売店の再建について協議を続けた。看板を維持したままで地域性を大切にするという理念の下、「地産品などは従来の取引先からの仕入れも継続する」(伊差川さん)という。

 全日本食品が運営するボランタリーチェーン(VC)は、加盟店の多さから(1)大幅な品ぞろえの向上(2)県内量販店と同等の価格帯での商品販売―が実現でき、全日本食品の運営サポートも受けられる。大西さんは「800点の商品から始め、いずれ1000品ほどまで増やす。コンビニよりも安い価格で提供し顧客を増やすことで、初年度から黒字化を目指せる」と見通しを説明した。
 (松堂秀樹)