沖縄県立八重山病院の人工透析医療、4人増員へ 県が方針、4月から 人材誘致支援も


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県の取り組みを説明する保健医療部の諸見里真医療企画統括監(中央)=9日夜、石垣市の八重山合同庁舎(八重山毎日新聞提供)

 人材不足など沖縄県八重山地区の人工透析医療の逼迫(ひっぱく)を受け、八重山地区医療提供体制協議会が9日夜、石垣市の八重山合同庁舎で開催された。地域の透析医療を担う3病院や県、八重山3市町、八重山地区医師会、同歯科医師会、県看護協会などが参加し、八重山地区の医療体制の現状や課題、今後の取り組みなどについて協議した。県立八重山病院の今後の透析医療体制として、2023年4月から看護師3人と臨床工学技士1人を増員し受け入れ患者数を拡大することなどが示された。

 八重山では、よなは医院、県立八重山病院、石垣島徳洲会病院が人工透析医療を提供するが、いずれの施設も看護師や医療機器を扱う臨床工学技士などが不足して新規の患者の受け入れが難しい状態となっている。

 県からは保健医療部の諸見里真医療企画統括監や病院事業局の中矢代真美医療企画監などが参加。離島の医療機関で一定期間就業した県外看護師などに対して就業助成金を支給する看護師等誘致支援事業が23年度からスタートすることなどを説明した。

 最も多くの患者を受け入れるよなは医院の与那覇朝樹院長は「高齢化が進む中で人工透析患者は確実に増加する。このままの状態が続けば本島へ患者を送る事態になる」と指摘。八重山病院の宮里均医師は「2017年には患者急増で観光客の透析を制限した。あれから5年たつが十分な対策がとられていない。このままでは近い将来、透析医療がパンクする可能性が高い」と県の対応を批判。また、石垣市の脳出血、脳梗塞、腎不全での死亡率が上昇傾向にあることなど心疾患予防の重要性を強調した。

 関係者からは「地元の医療従事者を育成することが重要」などの声が上がったほか、重症化予防の取り組み強化が求められた。

(八重山毎日新聞提供)