給食従事者の待遇改善を 喜屋武ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)<未来へいっぽにほ>


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喜屋武 ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)

 昨春、離島で栄養士が不在となり給食提供が停止した事態が話題となった。全国的にも調理員不足が原因で家庭からご飯やパン、スプーンの持参依頼を行った事例がある。私も宮古島の調理場に管理栄養士として勤めていた頃、病欠者の代替が探せず、2人分の仕事を数カ月抱えた経験がある(最終的に過労で1週間入院した)。

 どの業界も人手不足であるが、給食現場もなかなか厳しい。現状に危機感を覚え、私は研究者へ転職してすぐ沖縄の給食現場の、人手不足の実態を調査した。その結果、調理場では栄養士1割、調理員4割弱の欠員があった。また本島よりも、離島が深刻であった。

 人手不足にも関わらず多くが給食停止に陥っていないのは、給食従事者が倍の仕事をこなし欠員分を補っているからだ。調査では「調理員が休憩できない、早出残業が続く」「栄養士の補充がつかず身体的・精神的に疲労があり、献立作成で手いっぱい、授業は断っている」「手作りを加工品、生鮮を冷凍食材に変更した」など、深刻な実態が見られた。私はこの内容を2021年に論文として発表し警鐘を鳴らしたつもりだが、社会的インパクトを与えられぬまま人手不足は続いている。

 給食従事者不足への対策が喫緊である。第一に、調理員の賃金や処遇の改善が求められる。彼らの業務の専門性はより高く評価されるべきだ。調理機器の整備や冷房の設置も必須である。栄養士不足対策として期待されるのが、今春、沖縄大学による本県初の管理栄養士の輩出だ。今後、毎年約80人の管理栄養士が誕生していく。未来へいっぽ踏み出す彼らに期待したい。