「おばあたちの若い頃…懐かしい」歩いて巡る「塩屋湾の記憶」写真展 やんばるアートフェスティバル 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
塩屋ウンガミの写真を見て語り合う区民ら=1月17日、大宜味村塩屋集落

 【大宜味】4月9日まで開催する「やんばるアートフェスティバル」のアートプログラム部門で、「歩いて巡る屋外写真展」として塩屋集落にウンガミの写真が展示され、道ゆく人を楽しませている。作品は北海道のアート活躍団体「ウイマム・プロジェクト」のチームが製作した。

 「ウイマム」はアイヌ語で交易の意味。その土地に暮らす人々の営みや歴史風土に光を当て、地域資源の価値を再発見・再編集して、表現する活動をしている。今回のアートフェスティバルの開催当初から、区民と交流しながら塩屋湾の営みや歴史などを調べた。

 展示写真は故平良孝七さんが撮影したもの。豊年踊りの会場となる塩屋売店周辺6カ所の壁に神行事や奉納角力(相撲)、ハーリーなど10点を配置した。作品は撤去せず、すべて残すことになっている。

 ウイマム・プロジェクトの木野哲也さんは「資料提供などさまざまなサポートをしていただき、ウンガミ実行委員会や関係機関の皆さんの力で実現することができた」と感謝した。「この写真展が記録としてだけでなく、塩屋湾の営みや土地の記憶を通して、観覧者が自身のいつかの日、あの人、あの時を追想するきっかけとなることを願っている」と話した。

 交流の「座長」役となり、区民と木野さんらをつないだ宮城金一さん(65)は「おばあたちの若い頃の写真や、昔の風景が懐かしい。皆も喜んで鑑賞している。手伝って良かった」と笑顔を見せた。写真を見た区民は「私のおばあが写っている。角力の写真も素晴らしい」「改めて伝統行事の大切さを感じた」と誇らしげに写真に見入っていた。

(安里郁江通信員)