薬物密輸に「軍事郵便」目立つ 通常より安価 22年に8件、沖縄地区税関摘発18件中


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 2022年に沖縄地区税関が摘発した不正薬物事犯で、米軍の非公用軍事郵便を利用し大麻などの密輸を図った事案が少なくとも8件あったことが18日までに関係者への取材で分かった。いずれも米軍関係者の関与が疑われる事案で、税関による米軍基地内での検査などで発見されたという。同税関が22年に摘発した不正薬物事犯は18件だった。

 非公用の軍事郵便は米国内基準の送料で利用でき、通常の国際郵便に比べ安価。国内に違法な物を持ち込むツールの一つになっている可能性があるという。沖縄地区税関は琉球新報の取材に、調査中の事案もあり詳細は差し控えるとしている。

 軍事郵便は米本国などと在日米軍施設などを結び、公用と非公用に分かれる。日米地位協定で公用は税関の検査を免除されるが、非公用の郵便物は対象となる。沖縄地区税関は米軍のキャンプ・キンザーや嘉手納基地で検査を実施している。

 不正薬物を発見し、関与した者が特定できたケースなどは関税法違反で告発するが、それには至らない例もある。22年に摘発した18件の不正薬物事犯のうち、同法違反での告発は4件だった。

 関係者によると、昨年1月、男性米兵の関与が疑われる非公用軍事郵便物内に液体大麻約3グラムを発見。6月には男性軍属の関与が疑われる郵便物内に、大麻成分含有のグミ状の固形物約190グラムが税関の検査で発見された。このほか米国籍の女性会社員が郵便物内に麻薬に該当するカプセル状の薬物を隠し、密輸を図ったとして、関税法違反で告発された。

 非公用軍事郵便を使って米国から営利目的で大麻リキッド約2キロ、固形物約100グラムを密輸するなどしたとして、大麻取締法違反と関税法違反の罪で在沖米海兵隊員の20代の男が22年に有罪判決を受けた。大麻取締法違反などの罪で米空軍兵や海兵隊員の男らが同年、有罪判決を受けている。