「カメジローを語ることは自分の人生を語ること」開館から10年の「不屈館」館長が日記につづったこと


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 3月1日で開館から10年を迎える那覇市若狭の「不屈館」。米国の圧政に闘った政治家、瀬長亀次郎さんの次女の内村千尋館長(77)は、筆まめで詳細に日記をつけていた父のように、開館以来「館長日誌」を書いている。今や20冊を超えた。

館長日誌を広げ「無我夢中だった」と振り返る内村千尋館長=16日、那覇市若狭の不屈館

 開館当日の「館長日誌」には「レジでトラブル」「入館者89人」と細かな記録が書き込まれ、慌ただしさがうかがえる。その中で10日に亡くなった不屈館運営委員長の平良宗潤さんが開館あいさつで語った「みんながカメジローを語ることは自分の人生を語ること」という一文は丁寧に書き込まれていた。

 「バタバタだったが、どうにか無事終えた。(来館した関係者らと)思い出話をしながら説明して回った」と当日を思い返した。内村さんがそもそも日記をつけ始めたのは1990年頃。瀬長さんの入院に合わせ「介護日誌」を始めた。父が毎日つけた日記を「絶やしてはいけない」と、代わりに体温や食事などの記録をつけ始めた。その延長に今の日誌がある。

 10年を振り返って「無我夢中だった」と一言。父が求めた基地撤去を実現できていない現状、ロシアのウクライナ侵攻にも思いをはせ「今まで以上に頑張らないといけない」と思いを新たにした。

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 「不屈館10周年」を記念したイベントが3月4日、那覇市の桜坂劇場で開かれる。瀬長さんの映画を手掛けた佐古忠彦監督と、小説家の柳広司さんの対談やFEC所属芸人による「お笑いカメジロー&お笑い米軍基地」も上演する。午後1時半から。チケットは前売り3千円。問い合わせは不屈館、電話098(943)8374。(金盛文香)