【記者解説】5000万円現金授受の究明必要 那覇市議会 久高氏の後任に野原氏、新議長に


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野原 嘉孝氏

 不動産業者からの現金受け渡し問題を受けて那覇市議会議長を辞職した久高友弘氏の後任として、副議長の野原嘉孝氏が就任した。議長交代は市民の信頼を取り戻す議会改革のスタートに過ぎない。現金受け渡しの真相究明や具体的な再発防止策など、議会として今回の問題にどう向き合うかが問われている。

 久高氏は、市有地の所有権を主張する女性の後見人と連名で、土地購入を希望する業者から渡された現金の領収証に署名した。土地問題に関する百条委員会設置を提案するなど、議会で「所有権は女性側にある」と主張してきた。

 久高氏は「法に触れていない」とするが、議会で現金受け渡しがあったことについては「言い訳ができない」と非を認めている。与党内に「議員辞職を求められても仕方がない」との声もあるほど、重大な問題と言える。共産は現金受け渡しに関する百条委員会設置を求めていく構えだ。

 議長選の候補者が決まる過程では、一部の議員・会派の思惑もからみ、政局的になった。だが今回の議長選の焦点はいかに議会を立て直し、失墜した信頼を回復するかだ。各会派には利害を超えて、政治倫理条例の早期制定や問題の真相究明などに取り組む必要がある。 (伊佐尚記)